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起業家教育インタビュー:大阪大学

関西の各大学で、どのような起業家教育が行われているのかを調査するこの企画。今回は、2019年9月13日に大阪大学を訪問しました。インタビューに協力いただいたのは、大阪大学の共創機構 産学共創・渉外本部 人材育成部門 兼 イノベーション戦略部門 ベンチャー・事業化支援室の、濱田格雄さんです。濱田先生は、理学博士でもあり、生物物理学が専門で、目が光を物理的にどう受けるのかなどの研究をされているそうです。


レポート:生態会学生ボランティア 江平邦彦・事務局 西山裕子


広大で緑豊かな、大阪大学吹田キャンパス。産学共創のビルにある、Innovators' Club(イノベーターズクラブ)の部屋にお伺いしました。広いスペースには、工具や3Dプリンターなどが備えられています。

生態会(江平)以下江平と示す:本日は貴重なお時間を割いて頂き、誠にありがとうございます。大阪大学の起業家教育の目的について、お願いします。


大阪大学(濱田さん)以下濱田と示す:このイノベータークラブは、2017年10月に、イノベーション・新規事業・スタートアップ・学生起業に興味のある学生のためのコミュニティとして生まれました。大学の起業家教育の目的としては、二つあります。一つが、産業界との共創により、学生のイノベーションマインドをやチャレンジ精神を育み、多数のイノベーターを輩出することです。もう一つが、昔ハゲタカファンドに捕まり、騙され借金漬けになってしまった人がいましたが(笑)、そういうことが起こらないようにと、しっかりした支援の仕組みを提供しようということです。


濱田先生が創り上げた、起業のスキームについて説明いただきました

生態会(江平):それはかわいそうですね(笑)。ところで、イノベーションマインドと仰いましたが、大学が目指す起業のタイプはありますか。


大阪大学(濱田):特にありませんが、起業例としては、理系の枠から出発しているものが多いですね。また、IT系で起業しようとしている人もいます。最近、人間科学科の人も認知症に関わる分野で起業準備中です。他にも、カフェを開いて失敗して、また開いてという人もいます(笑)ここで理解してほしいことは、我々は起業で成功することを目的としているのではありません。むしろ、アイデアを社会実装するのがいかに難しいかを、体感してほしいのです。


生態会(江平):様々な起業家を受け入れているとのことですが、起業を目指す学生に向けたサポート体制は、どのようなものがありますか。


大阪大学(濱田):イベントをいろいろと用意しています。例えば、Innovator's talkというものがあります。これは、一か月に一回、各分野で活躍するイノベーターによる講演会でマインド醸成を目的として行っています。生態会の理事のアレンさんも、登壇いただいていますよ。また、VB/VCへの、インターンシップ企画などもあります。

Innovators' Squadという自主プロジェクトサポートプログラムに登録すると、取材時の旅費支援など資金面でのサポートも受けることができます。学生が特許を取りたい場合に、大学側と同意書を交わせば、大学側が承継する形を取って、大学からの支援を受けることができる仕組みも作りました。


技術に関する研究成果を用いて、起業準備に必要な実用性検証をサポートしたり、VCからの投資を受けるまでの準備を支援する助成金も大阪大学にはあります。ただし、しっかりとした審査を設けているので、受けるのは、結構難しいです(笑)


生態会(江平):現在、学内で起業を目指す学生の現状を教えてください。


大阪大学(濱田):Innovator's Clubには会員が、現在600名以上います。メンターや卒業生も含むので、現役学生は300名位です。今まで4つのチームが起業して、活動しています。その中で大きく成長した企業は、まだありませんが(笑)、過去にInnovator's Clubに所属していた人で、成功した人もいます。


生態会(江平):Innovator's Clubにおける、現状の課題は何ですか。


大阪大学(濱田):文系の人たちとの連携です。Innovator's Clubは理文問わないのですが、活動場所が理系学部の吹田キャンパスにあることや、文系学部の起業となると、知的財産権や特許等がなく、なかなか支援しにくいということが課題です。


生態会(江平):今後の展開や、夢があればお願いします。


大阪大学(濱田):海外の大学みたいに、様々な分野が融合するような体系を整えれたらと考えています。実際に、カリフォルニア工科大学では、学内の技術をショーケースとして公開し、2つか3つの技術を組み合わせて共同研究をするという仕組みがあります。ノーベル賞をとった教授も関ります。まったく違う分野の組み合わせの研究を2年続けることで、イノベーションが生まれ、新たなノーベル賞を取ったという事例があります。多様性は、新たな発想や技術を生みます。大阪大学でも、工学部と医学部との組み合わせや、文理融合で面白いものができるのでは、と思います。ただ、こういった体系を作り出すのには時間がかかり、どうしていこうと悩んでいるところです。


生態会(江平):最後に起業家たちに一言お願いします。


大阪大学(濱田):イノベーションを起こすなら、M&Aとかバイアウトとか言うより、自分は何をしたいのか?と突き詰めてほしいですね。とにかく起業する人は頑張れ!!



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