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  • 執筆者の写真hinanana626

スマホ1台で、養育費から家賃まで少額債権回収トラブルを解決:AtoJ

更新日:2023年12月2日

関西スタートアップレポートで紹介している、注目の起業家たち。今回は、現役の弁護士が開発したお金のトラブルを解決する新時代のオンラインサービス「One Negotioation(ワンネゴ)」を提供する、株式会社AtoJ(エートゥジェイ)の代表取締役CEO 森 理俊(もり みちとし)氏、代表取締役COO 冨田 信雄(とみた のぶお)氏にお話を伺いました。





    取材・レポート:西山 裕子(生態会事務局長)、大野 陽菜(ライター)


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代表取締役 CEO 森 理俊氏 略歴:1979年生まれ、大阪府出身。京都大学法学部 卒業。日本で初めてスタートアップに特化したAZX総合法律事務所に入所し、パートナーに就任。2010年大阪弁護士会に登録し、ベンチャー法務プロジェクト座長に。2017年、アクシス国際法律事務所(現、S&W国際法律事務所)を設立(共同創業者)。2020年には、株式会社AtoJを冨田ほか4名の弁護士と共同創業。


代表取締役COO 冨田 信雄氏 略歴:1987年生まれ、大阪府出身。関西学院大学 法学部卒業、大阪大学 法科大学院(大阪大学 大学院高等司法研究科)修了。関西法律特許事務所に入所し、パートナーに就任。IT・バイオ・旅行・ホテル・アパレルなど、さまざまな業態の新規事業開発や事業再生の支援を重ねる。大阪大学を中心に、産学連携や大学発スタートアップの事業化も支援。


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生態会事務局長 西山(以下、西山):本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

早速ですが、会社設立の経緯について教えていただけますか?


代表取締役COO 冨田 信雄氏 (以下、冨田氏):私たちは、少額のお金のトラブルをオンラインで解決できる「One Negotioation(ワンネゴ)」というサービスを2022年9月よりスタートしました。オンラインで当事者双方の話し合いによって紛争解決をめざす裁判外紛争解決手続き「ODR」(Online Dispute Resolution)の中でも、特に100万円以下の少額の金銭債権に関する回収や紛争のオンライン解決に最適化したものです。賃貸マンションの家賃未払い、クリニックの診療費未払い、スポーツジムの会費未払いなど、少額のお金のトラブルに対応しています。


左:冨田氏 右:森氏

西山:なぜ、このサービスのアイデアに至ったのですか?


代表取締役 CEO 森 理俊氏 (以下、森氏):普段は弁護士業務やスタートアップ支援をしているのですが、少額債権のトラブルを何度も経験しました。課題の深さを身に染みて感じており、それを解決できるのは自分たちしかいないと思い、サービス開発にいたりました。

周りに信頼できるエンジニアとデザイナーがいたことも、心強かったです。

リリースには約2年かかりましたが、細部までサービスを作り込みました。


西山:債権回収の課題解決の専門家である、現役弁護士のお二人が作ったという点はサービスの大きな強みですね。


世の中から泣き寝入りをなくす

西山:このサービスで、具体的にどんな人の課題を解決できるのですか?


冨田氏:例えば、母子家庭の二つに一つが貧困家庭で、そのうちの半分は養育費の取り決めができていない現状です。さらに、その中でも4人に1人は取り決めしているにもかかわらず、毎月の養育費を受け取れていません。


養育費は、平均で月5万円程度です。今や、毎年20万件の離婚があると言われていますから、今後もどんどん山積みになっていくことが分かります。


養育費を請求できない理由を見ると、「相手と関わりたくない」、「支払う意思がないと思う」、などの考えが大半であり、そもそも十分な交渉が行われていないということです。

また、同じような課題は養育費だけでなく、賃貸の20戸に1戸が家賃滞納、個人事業主の2人に1人が未払いを経験、医療機関の93.5%が未払いを経験など、さまざまな「少額の」お金のトラブルがいたるところで起こっています。


これまでの解決策は、直接交渉、代理人弁護士による交渉、裁判の3つしかなく、どれもお金と手間がかかってしまうこともなかなか債権を回収できないことの課題のひとつでした。

ライター大野(以下、大野):確かに、そのような課題を経験している人も多そうですし、簡単な解決策がないことは、経済的にも精神的にも、とても厳しいですね。


生態会の西山からの質問に、即座に回答されました。入念な準備があったことが伝わります



スマホひとつで、簡単に問題解決へ


冨田氏:そうなんです。そこで、新しい解決策となるのが、

弊社の「One Negotiation(ワンネゴ)」です。


ワンネゴでは、名前・連絡先・未収額の3つを入力するだけで申立てができます。申し立てを受けた側には、メール・郵送・SNSなどで通知が届き、「全額支払う」「末日から分割で支払う」「請求に身に覚えがない」などの選択肢をタップすることで話し合いを進めていくことが可能です。


話し合いが折り合わない場合には、調停人が交渉をサポートします。


西山:実際にデモを見せていただきましたが、非常にシンプルで分かりやすいですね。


森氏:誰でも簡単に使えるようなユーザビリティーの高さも特徴の一つです。



西山:ローンチ後の成果は、いかがですか?


冨田氏:2022年9月からスタートしたβ版での合意成約率は、およそ2割です。ワンネゴの申立て案件数は、合計200件を超えています。ビジネスモデルとしては、回収できた額の24.2%が手数料として入る仕組みになっています。


さらに、日本で初めて行われる法務省のODRの実証事業「ONE」のシステム構築や、デザイン構築も当社が受託しています。「ONE」は弁護士への法律相談からオンライン調停の申立てまでチャットで一気通貫で行えることが特徴といえます。


西山:いろいろな可能性を秘めたサービスで、あらゆるところから需要がありそうですね。






”少額債権の回収には「ワンネゴ」”を日本だけでなく世界へ


西山:今後の展望を、お聞かせいただけますか?


森氏:未収債権が一定割合で発生する病院、不動産、ジムなどの事業者や自治体に対して「ワンネゴ」の活用をさらに広げて提案していきます。また、将来的には日本だけでなく、世界までサービスが広がることを目指したいと思っています。

大阪から世界を目指す、強い意気込み

冨田氏:「Access to Justice」のミッションのもと、解決できない案件を弊社のサービスによって解決し、世の中から泣き寝入りをなくしていけるよう、さらにサービスを磨いていきます。


西山:素晴らしい事業モデルで、感心しきりでした。ぜひ、大阪からすごいリーガルテックのスタートアップとして、成功してください‼️

今日はどうも、ありがとうございました!




 

取材を終えて:

生態会の大野からも、詳しく仕組みをお聞きしました

法律や裁判にあまり知識のない人にとっても、ワンネゴのサービスは簡単に利用できる分かりやすいUI(ユーザーインターフェース)となっていて、デモを見たときは驚きました。弁護士として少額債権の回収が困難であるという、お二人の課題意識からスタートした、現場感のあるサービスになっています。少額未払の額は増え続けているということなので、今後もさまざまなシーンで利用が広がり泣き寝入りがなくなるといいなと感じました。(ライター大野)






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