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  • 執筆者の写真濱本智義

日本初の「お仕事体験×テクノロジー教育」で子供の未来を拡張する:あんず堂

関西スタートアップレポートで紹介している注目の起業家。今回は、日本初の「お仕事体験×テクノロジー教育」で子供の未来を拡張する株式会社あんず堂の代表取締役 播磨貴文(はりまたかふみ)さんです。


取材:西山裕子(生態会事務局長)、濱本智義(学生スタッフ)

レポート:濱本智義

 

代表取締役 播磨貴文


1987年9月29日生まれ。大学在学中にフリーのWEBデザイナーとして活動をスタート。2014年からNPO法人にて事務局長を務め、非就労の若者へのテレワークを活用したプログラミング指導を行ない、1年間に全国59名のひきこもりに約700万円の仕事創りに成功。2016年9月に小中学生向けのプログラミング教室アンズテックを運営する株式会社あんず堂を設立し、代表取締役に就任。

 

■子供たちの未来を拡張する職業体験都市「アポロン」


西山(生態会):本日はありがとうございます。まずは、事業概要について教えていただけますか。


播磨(あんず堂 代表取締役):主に三つの事業を展開しています。まず一つ目は、自宅で学べる、オンラインプログラミングスクールアンズテックの運営です。二つ目が、プログラミング教育に必要なすべてが詰まった、学習教材アポロンの販売事業です。そして三つ目が、憧れの職業を体験し、AI時代に必要となるスキルを身につける、オンライン職業体験都市「ピボタウン」の運営です。ピボタウンは、今年2021年の7月の正式ローンチに向け、今最も注力している事業です。


濱本(生態会):プログラミングに関連して様々な事業を展開されているのですね。オンライン職業体験都市「ピボタウン」では、どのようなことを学べるのでしょうか?


播磨:ゲーム開発やWEBクリエーター、自動車、鉄道、テレビ局、宇宙産業など、AI時代になっても"なくならない"とされている職業を中心に体験することができ、それぞれの職場で実際に使われているプログラムやテクノロジーを学んでいきます。例えば、ゲーム業界だと、ゲームプランナー、ゲームディレクター、ゲームプログラマー、2D/3Dデザイナーなど、一つの業界にも様々な職種があり、それぞれの業種によって必要な専門知識や技術、また面白みも異なってきます。


単に「ゲームを作りたい」という夢の中にも様々な選択肢があるんです。それらの選択肢を、子供のうちから知ることで、将来の夢ややりたいことを見つけるきっかけにしてほしいと考えています。今は正式ローンチに向け、企業さんと提携してコンテンツを作っているところで、料金に関してはまだ暫定的ではありますが、月額9,800円を予定しています。







濱本:今の日本の教育体制では、子供たちが興味を見つけられる機会がなかなかないので、子供の頃に「ピボタウン」のようなサービスがあったら良かったなとお話を伺っていて強く感じました。


播磨:ありがとうございます。一言で言えば、「ピボタウン」はオンラインキッザニアのようなものですね。このサービスを通して、子供たちがもっと自由に夢を描けるような世界になってほしいと思っています。また、そこから起業家が生まれ、新しい価値が創られるかもしれません。子供たちの可能性は無限大です。だからこそ、その夢を広げるためにも、これからいろんな職業・業種業界を取り揃えていきたいです。



■元引きこもりから、起業家へ


西山:プログラミングに興味を持ったきっかけは何だったんですか?


播磨:小学生の頃、私は引きこもりがちでした。友達と遊んだり、外に出かけたりする時間よりも、一人で家にいる時間の方が長かったんです。そんな私は、いつしかワープロにハマり出し、家にいるときはずっとワープロをいじって遊んでいました。そして中学生になった時に、家にパソコンが届き、それからはパソコンをずっといじっていました。ゲームが好きだった私は、自分でゲームを作りたいと思うようになり、それをきっかけにプログラミングを独学で学び始めました。初めの頃はちんぷんかんぷんでしたが、大学生になる頃にはスキルも上達し、WEB制作をしたりとフリーランスとして仕事を頂く機会も増えていきました。


濱本:好きなことが今の事業に繋がっているんですね。そのままフリーランスとして働く選択肢があったのにもかかわらず、なぜ起業という選択肢を選んだのですか?


播磨:もともとスタートアップに興味がある訳ではなかったのですが、引きこもりやニートなどの非就労の若者にプログラミングやデザインを教えるNPO法人で、事務局長を務めた経験があり、そこでの活動を通して起業や教育に関心を持ち始めました。


しかし正直、初めの頃は資金調達のやり方も分からず、にっちもさっちも行きませんでした。そんな時、たまたま応募した「OSAP」という大阪市が主催しているアクセラレーションプログラムに採択され、それをきっかけにスタートアップについて本格的に学ぶようになりました。そこで改めて、教育という分野で子供たちの未来を支えたいと思うようになり、起業を決心しました。


濱本:ビジョンに「子供の未来を拡張する」とありますが、これを実現するために必要なことは何だと思いますか?


播磨:まず第一に、子供たちに興味を持ってもらうことが最も重要だと考えています。子供はわかりやすい生き物で、好きで興味のあるものは自ら率先して勉強するのですが、嫌いで興味のないものに対してはなかなか集中力が持ちません。そのため、私たちは「興味を持ってもらう」というはじめの入り口を大切にし、子供たちが楽しく学べるコンテンツを追求し続けています。




■コロナ禍での迅速な対応と高い口コミ力で売上を拡大


西山:コロナ禍での変化はありましたか?


播磨:実は、もともと大阪府の谷町六丁目の方で教室を構えていたのですが、コロナが流行り出し、緊急事態宣言が出たので、その時すぐに全ての教室をオンライン化しました。早く対応したおかげで、特に悪い影響は出ませんでした。逆に、家にいながら気軽にプログラミングを学べるということで口コミが広まり、最近また生徒さんが増えてきています。



西山:迅速な対応のおかげで逆にビジネスチャンスを掴み取ったわけですね。


濱本:オンラインならではの取り組みなどはありますか?


播磨:緊急事態宣言が出た際に、子供達に何か楽しい時間を提供できないかと考え、契約している全国の事業所を巻き込んでマインクラフト遠足を開催しました。想像以上に好評だったので今も定期的に開催しています笑。


濱本:とても楽しそうですね!子供に評判の良い理由がよく分かりました!


西山:そういえば、御社はプログラミングを教えているだけでなく、学習教材も販売されているんですよね。


播磨:はい、プログラミング教育に必要なすべてが詰まった学習教材「アポロン」を、学習塾やパソコン教室などの事業者に向けてライセンス契約という形態で販売をしています。


西山:「アポロン」の特徴や強みを教えていただけませんか?


播磨:「アポロン」の特徴と強みは、コンテンツ力と導入コストの低さだと考えています。


私たちは「子供たちに楽しんでもらう」ということを最も重要視してコンテンツを作っています。おかげさまで、プログラミングを楽しみながら学べると、生徒や保護者の皆様からご好評いただいております。


加えて、「アポロン」は授業映像になっているため、学習塾の先生はプログラミングの知識がなくても簡単に導入することができます。また、ライセンス契約という形態をとっているため、フランチャイズ契約と比べて比較的安価で、導入コストを低く抑えることができるんです。


このようにコンテンツ力と導入コストの低さを武器に、特に営業をかけることもなくGoogle広告と口コミだけで現在約30社の法人様から契約をいただいており、総ユーザー数は5000人超に及びます。




西山:これらのサービスに加えて「ピボタウン」が新しく導入されるのですね。今後の事業展開にもますます期待が高まります。本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

 

取材を終えて:営業は特に行わず、Google広告と口コミだけで5000名超のユーザーを獲得したという話には驚きました。その圧倒的なコンテンツ力と導入コストの低さに加え、コロナ禍で教室を完全オンライン化した迅速な対応力やコンテンツを教材として学習塾に提供するという機転の利いた発想力で、着実に成長を遂げているスタートアップでした。プログラミングを職業体験という形で学ぶ「ピボタウン」は日本初の試みで新規性があり、これからが非常に楽しみです。(学生スタッフ:濱本)





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