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学生と産学連携に熱心な企業をマッチングさせるWEBサービス「産学ラボ」:株式会社アクコム

関西スタートアップレポートで紹介している注目の起業家たち。今回は、産学連携をしたい中小企業と学生個人をマッチングさせるWEBプラットフォームを開発する、株式会社アクコム 代表取締役 宮田祈さん にお話を伺いました。

取材・レポート:垣端たくみ(生態会事務局)


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宮田祈(みやた いのり)氏 :大阪工業大学へ入学してから学生、社会人問わずに技術的なテーマならなんでも発表可能なLTイベント「梅キャン勉強会」の運営代表を2018年から2年間担当。イベントが通じて幅広い分野の学生、企業との繋がりを構築するきっかけとなり、“大学の勉強だけでは満足できていない学生”と“意欲的な学生とコラボした産学連携したい企業担当者”をマッチングさせる「産学ラボ」事業を考案。2022年5月に株式会社アクコムを設立(資本金100万円)、同年10月には大阪信用金庫主催の学生ビジネスプランコンテスト「O-BUCs」ファイナリストへ選出。

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生態会事務局 垣端(以下、垣端):本日はお時間をいただきありがとうございます。在学中に創業されたとのことですが、起業されたきっかけについて教えてください。


宮田祈氏(以下、宮田):もともと「産学ラボ」の事業で起業しようとは思っておらず、必要にかられて法人登記をしました。もともとは学校の先生になるために大学に通っていました。コロナ禍が始まる一年前から、エンジニアが集まる梅田のバーに頻繁に通っていました。バーのマスターから「会社を作らないか」と提案され、何かできたら面白いなと思い、ずっと起業テーマを探していました。その頃から、起業というほどではないですが、農業のIoTデバイスを作っており、東京工業大学の先生に納品した経験もありました。その際に、個人事業主では契約してくれなかったため、会社を作ったのがきっかけです。


垣端:「産学ラボ」の構想を思いついたきっかけを教えてください。


代表取締役 宮田祈 氏

宮田:農業のIoTデバイスを作っていた時期にコロナの影響を受け、半導体不足で開発ができなくなってしまいました。他にやれることがないかを考えていた時に、たまたま大学院の研究で中小企業の生産管理の研究をすることになりました。その時から、中小企業経営者と学生と話す機会が多くなり、両者をうまくマッチングできないかと考えるようになりました。現在の産学連携の形は、大学と民間企業という組織同士のマッチングなので、意思決定に時間を要するケースが多いです。学生個人と中小企業だけで完結する産学連携のサービスを構築したいと思ってました。


垣端:「産学ラボ」はどのような事業でしょうか。


宮田:学生と産学連携に熱心な中小企業をマッチングさせるWEBプラットフォームです。新しいアイデアを欲している、または新規事業を生み出したい中小企業が、自社の課題をWEB上に掲載します。そこに、自身の専門性を活用して実践的な経験を積みたい学生がエントリーできます。

産学ラボのプロジェクト組成の流れ

学生が抱える課題の一つに、大学で身につけた専門的な知識を生かす経験ができないことが挙げられます。特に、工学部などの学生は、実社会で役立つ技能を在学中に獲得しているケースも多々あり、それらで価値提供できた事例を作ることができれば就職活動にも良い影響を与えると推察しています。


また、企業側の課題として、新しい考え方やアイデアを取り入れて新規事業や課題解決につなげたいという声もよく聞きました。大学に相談しても専門部署がない、学生を集客できない場合もあり、我々に相談が舞い込んでくることが増えました。


現状、学生を集める手法は極めて俗人的です。知り合いの学生に声をかけたり、クチコミなどで学生のコミュニティができつつあります。中小企業から相談を受けて、それに基づいて学生を集めることもあります。例えば、IoTやAIだったら工学部の学生、マーケティングなら経済や経営、心理学部の学生などに声を掛けています。


垣端:中小企業が「産学ラボ」に期待していることを教えてください。


宮田:大きく分けて二つあります。一つは採用です。若い人が将来的に自社で働いてくれると嬉しいと考えている企業が多いです。もう一つは、単発での課題解決です。中小企業にとっては難易度が高くても、若者が容易に解決できる場合もあります。理系の大学院生で解決できるレベル感を中小企業が求めていることも少なくありません。学生との接点は中小企業にとって大きなメリットがあります。



産学ラボのビジネスモデル

垣端:中小企業からは具体的にどのような相談を受けていますか。


宮田:農家や鋳造メーカー、服の繊維メーカー、大手の半導体製造機器メーカーなどからご依頼をいただいております。半導体製造機器のメーカーからは、社員研修の一環で、光学系や理系の大学院生と、ロボットの固有技術を研究している人が交流する機会を作って欲しいなどのご依頼をいただきました。半導体機器としては利益が出ているので、新規事業としてロボティクス領域に参入予定だったのですが、それを考える人材がいないというのがネックだったようです。


また、大阪府のぶどう農家さんから、ビニールハウスの防犯対策のための、簡単なセンサーと電子工作をしてほしいという相談がありました。業者に見積もりしたら160万円になったことを嘆いておられました。しかし、このレベルの技術なら手先の器用な電子工学の学生さんが対応可能です。実際に、お見積もりの半額以下の価格で対応することができ、非常に喜ばれました。


マッチングした学生からは、「こんな簡単なことでいいの?」と言われることも多いです。中小企業から見ると難易度が高い案件でも、専門性を持ち合わせた学部の1、2回生や高校生でもできる案件であることも多々あります。現場で求められているレベル感と大学で培っていた技術に乖離があることに、学生さん自体も驚いていました。


垣端:どのような学生さんにアプローチしたいですか。


宮田:大きく分けて2パターンです。一つは大学院生です。例えば、自分の研究テーマを社会のために生かすためには、どのような生かし方があるかを悩んでいる学生さんです。一つは大学に入りたての1、2年生。専門分野が定まっていない、知識スキルが不明な学生です。前者は専門性を、後者は学生であることや学生ならではの価値(アイデアなど)を提供します。


垣端:大学にもメリットはあるのでしょうか。


宮田:中小企業と学生の産学連携を促進したいというニーズはあり、企業と大学で連携協定を結んでいることもあるのですが、何も実績になっていないケースも多いです。また、大学の職員が対応できず、企業からの相談を断っている事例もあるようです。中小企業と学生のプロジェクトベースの案件は、学生を育てる有益な題材であると考えられます


垣端:直近の3年間で何を成し遂げていきたいですか。


宮田:学生も企業も集まってきているので、もっと案件をコーディネートできるスタッフを増やしたいです。今は月に1、2件の対応が限界ですが、月10〜20件、年間で100件は対応できるように体制を整えたいです。


参加学生には、就活の”ガクチカ”(「学生時代に力を入れていたこと」ことの略称)を産学ラボを通じて作ってほしいです。また、その経験を論文や口頭発表で披露して、学術的に認められる成果を作って欲しいと思います。


企業側には、学生との接点をきっかけに、生産性が上がった、利益が上がったなど、経済的なメリットが出せるようにしたいです。


垣端:本日はどうもありがとうございました!

 

取材を終えて:専門性を持ち合わせた学生と困っている中小企業を俯瞰的に分析していた宮田さん。両者をマッチングさせるアイデアは世の中に存在していますが、実際にWEBプラットフォームやソフト面の支援を手がける事業は珍しいです。コロナの影響も落ち着き、学生もチャレンジしやすい環境に戻りました。今後の宮田さんの動向と「産学ラボ」の展開に、注目です。(生態会 事務局 垣端)


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