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高校生と仕事のであいをつくる:アッテミー

関西スタートアップレポートで紹介している注目企業。今回は株式会社アッテミー 代表取締役の吉田 優子さんをご紹介します。


 吉田さんは上智大学卒業、新卒で楽天に入社後、公立高校の進路指導職に転身するために2013年に関西へ。以後、高校生の進路指導に関する活動を継続し、2019年にアッテミーを設立されました。中小企業庁主催「Japan Challenge Gate 2020-全国ビジネスプランコンテスト-」で1位の経済産業大臣賞を受賞するなど、全国的にも大注目の吉田さんに、事業や今後の展望を伺いました。

*2020年3月時点の情報です

取材・レポート:森令子(生態会事務局)

生態会 森:「LED関西 第5回ファイナリスト」としての吉田さんのプレゼンに感動したのが約1年前でした。あの時は会社設立前でしたが、この1年で事業がとても進んでいて驚きです!まずは、現在の事業について教えてください。


アッテミー 吉田優子氏(以下 吉田):高校生が豊かな選択肢の中から意志をもって進路を決められるようにすること、そのために高卒就職の価値を高めることをビジョン・ミッションとして、高校生の就職支援を行っています。具体的には、企業向けに高卒新卒の採用コンサルティングを提供したり、学校で就職指導を行うなどの活動です。自社サービスとしては、高校生向けのジョブツアー(職場体験)申込サイト「ATTEME」を開設・運営しています。取引先は行政や学校、東証一部上場企業などです。


:なぜ、”高校生の就活”に関わるようになられたのですか?


吉田:自分が高校の時に悩んだ進路への疑問が原点です。楽天市場担当として、会社での仕事も充実していましたが、やはり「高校の進路指導を変えたい!」という想いに立ち返り、公立高校の進路指導室の求人を見つけて、大阪の地に飛び込みました。そこで初めて、高卒就職をする高校生に出会ったのですが、例えば、学校を通じて応募できるのは1社だけという「一人一社制」など独自のルールや慣習があったり、職業イメージが乏しくて自分で仕事を決められない、早期離職が多いなど課題は数多く、私が取り組むべきだと感じたのです。


:現在のチーム状況、資金調達状況などはいかがですか?


吉田:現在のチームメンバーは4名、雇用ではなく業務委託などの形で参画してもらっています。高校生・大学生のインターンも活躍してくれており、将来的には高卒就職経験者などの当事者が多く関わる組織を目指しています。


資金については、早期の資金調達を目指しており、それにあわせて、チームを強化していきたいですね。


:吉田さんのツイッターのプロフィールには”アッテミーCEOで高校の進路指導の先生でママでキャリコン”と書かれていますね。ママでCEOだけでも忙しそうですが、その他の活動も継続しているのですか?


吉田:現場を知ることがとにかく大事なので、CEOとして事業を進めつつ、学校での進路指導も継続しています。2歳と4歳のママでもあり、楽しくがんばっています。高校の就職指導シーズンは7−9月、この時期ははずせないため、1人目出産後は3ヶ月で学校の進路指導に復帰、2人目の時も10月の出産でしたが、9月まで現場にいましたね(笑)。



:自社サービスの”ジョブツアー申込サイト「ATTEME」”について教えてください。


吉田:Rakuten ソーシャルアクセラレータープログラムに採択され、楽天の皆さんのサポートでアルファ版を2019年12月にリリースしました。運用を続け、2020年に正式リリース予定です。このサイトは採用前提ではなく、企業と高校生が会ってみるためのジョブツアー(職場体験)をマッチングするサービスです。これまでは、学校を介しての就職しか選択肢がなく、既存の職場体験紹介サービスも、学校斡旋のための補助ツールでした。私たちが目指すのは、自分で就職先を選べるようにする、自分で就活できる高校生を育てることです。おかげさまで、学校側の反応は大変よく、現在は、職場体験の受入企業を積極的に開拓中です。




:東京での会社員生活から、大阪の学校での進路指導職に転身、ついには関西で起業された、ということですが、関西での起業についてメリット・デメリットはどういったところですか?


吉田:関西で起業するメリットは、スタートアップ界隈の人脈がアットホームで、距離が近いこと。大阪府の「スタートアップ・イニシャルプログラムOSAKA」に採択されたのですが、充実したサポートで多くの方と知り合うことができました。一気に繋がれるのは本当にありがたいです。


デメリットは、ピッチや資金調達などで、東京に行かざるをえないため、時間と費用がかかること!また、資金調達などの情報やスタートアップで働きたいという人は、東京の方が身近に存在しましたね。例えば、飲み会などプライベートな場で「VCだ」「エンジェルだ」といった話題は関西では聞かないし、スタートアップで働きたい人も少ないように思います。


シード期の私たちにとって、ほんの少し先、半年先くらいのフェーズの先輩スタートアップが、とても参考になるのですが、東京で成功したスタートアップが関西に来た時には、すでに会社として出来上がっていて、なかなか関われない。そこはもったいないなと思います。


:最後に今後の展望を教えてください。


吉田:私たちが実現したい世界を、小規模ながらも目に見える形に出来てきました。高卒採用市場は刻々と変化しており、スピード感ある事業展開のためにも資金を調達し、チーム構築していきたいです。


事業展開としては、一般の高校だけでなく、例えば、N高など新形態の通信制高校、塾やフリースクール、プログラミング教室の運営会社など、進路に関わる多くのプレイヤーとの提携も考えています。また、高卒社員の入社後の研修や教育サポートにも注目しています。多くの方と連携して、高校生が未来につながる意志ある進路決定をできる社会を実現したいです。


取材を終えて(森)

「信念の人」という言葉がぴったりの吉田さん。目の前で指導する生徒の意志ある進路も、社会全体の変革も、両方とも実現したいという大きなビジョンですが、吉田さんとお話していると「必ず実現できる!」と信じられるような力強さと、応援したくなる魅力があります。テリー伊藤さんが”感銘を受けた人物”として吉田さんを紹介したことが、ネットニュースになったのも納得です!




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