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データセンター急拡大を支える特化型人材業務代行サービス!YouTubeも窓口に

  • 執筆者の写真: 和田 翔
    和田 翔
  • 16 分前
  • 読了時間: 8分

関西スタートアップレポートで紹介している注目の起業家たち。今回は、Data Center Xpert株式会社(以下、DCX)の代表取締役を務める青山陽 氏に話を伺いました。


日に日に需要が高まるデータセンターですが、今、人手不足が深刻な課題になっています。同社はこの課題に人材紹介・電気主任技術者業務代行・コンサルティングの3本柱で挑んでいます。YouTubeチャンネル「電験革命」の運営から始まった異色のビジネスモデルは、どのように生まれたのでしょうか?


取材・レポート:大洞静枝(生態会事務局)

和田翔   (ライター)

青山 陽(あおやま よう)氏 略歴

奈良高専を卒業後、関西電力で勤務。転職したSBエナジー時代に新事業コンテストへ応募し、ソフトバンクCEO直轄のプロジェクト室へ。未来都市建設「NEOM」に携わる。その後、 Amazon Web Services (AWS) での勤務を経て、Colt DCSの在籍時は関西最大規模のデータセンターでマネージャーを務める。2019年頃、電気主任技術者の資格取得を支援するYouTubeチャンネル「電験革命」を開設。国内最大規模をほこる電気資格系のチャンネルに成長し、登録者は2万人を突破。業界の深刻な人材不足を背景に、2024年2月DCXを設立した。


データセンターのエキスパートだから提供できるサービス


生態会事務局 大洞(以下、大洞):本日はお時間を頂きありがとうございます。まずは、御社の事業概要を教えてください。


DCX 代表取締役 青山 陽氏(以下、青山氏):データセンター業界に特化して、有料職業紹介事業・電気主任技術者(※)業務代行・コンサルティングの3事業を主に手がけています。

※高圧電力設備の安全管理を行う国家資格

DCXの事業イメージ
DCXの事業イメージ

ライター 和田(以下、和田):それぞれの事業をくわしく教えていただけますか?


青山氏:まず有料職業紹介は、電気主任技術者の資格取得を支援するYouTubeチャンネル「電験革命」を軸にしています。登録者は2万人を超えていて、そこで求人企業の紹介もしているので、専門知識を持った求職者が自然に集まってきます。


大手の転職サービスを使わずにうちに来る方が全体の8割ほどで、流入経路の6割はYouTubeです。


次に電気主任技術者業務は、ゼネコン・サブコンと業務委託契約を結び、弊社の社員を電気主任技術者として現場にアサインするサービスです。データセンターの建設現場では電気主任技術者が法律上必要なのですが、自社でその人材を確保するのに苦労されています。データセンターの建設は着工から竣工まで3年ほどかかるので、契約を結べば数年間は安定した売上が見込めます。


コンサルティングは、これからデータセンター事業に参入したい大手企業などに向けて、設計・建設から運用・最適化までの各フェーズでサポートします。私自身がAWSやColt DCSで現場を動かしてきた経験があり、実務まで踏み込んだ提案ができる点を評価していただいています。


DCX 代表取締役 青山陽 氏
DCX 代表取締役 青山陽 氏

登録者2万人超のYouTubeチャンネルが生んだ独自の集客


大洞:青山さん自身が、数々の大手企業で経験を積んできたエンジニアなんですよね。これまでの経歴を振り返っていただけますか?


青山氏:関西電力で送電鉄塔の設計・保守をやっていた頃から、ずっと電気の現場一筋でやってきました。SBエナジーの時代には、社内の新事業コンテストでの発表が評価されて、その翌日にはCEO直轄のプロジェクト室に呼ばれていました。それからサウジアラビアの未来都市建設プロジェクト「NEOM」の電力部門を担当することになって、リヤドに住んでいた時期もあるんです。


その後に勤めたAWSでは関西と関東の大規模データセンターの運用管理を任され、Colt DCSでは、関西最大級のデータセンターのサイトマネージャーとして、建設と運用を両方見る立場でした。データセンターで電気の専門家が担う仕事は、ひと通り経験してきたと思います。


大洞:そのキャリアが、人材紹介でも強みになっているのでしょうか?


青山氏:「データセンターとはこういう現場で、こういう人材が必要なんです」という説明を、自分の体験とリンクさせて求職者にもゼネコンにも語れるのは、自分の最大の武器だと思っています。


和田:YouTubeチャンネルを軸にするのは非常に珍しい取り組みだと思うのですが、どんな経緯で始めたのでしょうか?


青山氏:もともと「電験革命」は、JTの在職中に副業で始めました。工場の従業員向けに電気技術の勉強会で講義するように頼まれたのがきっかけです。3交代制で働く人たちに教えるために、最初は同じ講義を3度繰り返していたんですが、「動画にしておけば、それぞれに都合の良いタイミングで見てもらえる」と思い、YouTubeチャンネルを開設しました。すると外部の人たちにもだんだん見てもらえるようになって、想像以上に需要があることに驚きました。


YouTubeチャンネル「電験革命」

和田:そこからどう人材紹介につながっていったのですか?


青山氏:技術者試験の合格を目指す人が集まるチャンネルですから、長く運営を続けることで、おそらく自分は「日本で一番、電気主任技術者試験の合格者とつながっている」立場になったと言えるでしょう。Colt DCSの在籍時に独立を考え始めたころ、「このつながりをデータセンター業界に紹介するビジネスとして生かせるのでは」と考えつきました。


和田:既存の紹介サービスには現れない人材とつながっている点は非常に強いですね。


青山氏:今でも週に5名程度が「データセンターに行きたい」と問い合わせてくれます。私自身がエンジニアとして発信しているので、視聴者や志望者も「この人は仲間だ」という感覚を持ってくださるのだと思います。エージェント自身がエンジニアであることが、既存の人材会社との決定的な違いですね。


データセンターのイメージ画像(提供:DCX)
データセンターのイメージ画像(提供:DCX)

外資大手からの独立。起業のきっかけは「おこづかい制」


和田:大手の安定した環境で働くのではなく、スタートアップという道を選んだ理由が気になります。


青山氏:率直に言えば、「自分はサラリーマンに向いていない」とさまざまな経験をして実感したからなんですよ……。ただ副業として今の事業を始めた最も大きな理由は、お金を稼ぐモチベーションが人一倍高かったからです。実は、関西電力に勤めていたころに結婚していて、そのころからおこづかい制だったんですよ。


和田:すると、おこづかいアップのために?


青山氏:転職をするなかで年収は上がっていったんですが、なかなか家庭内の賃上げは実現できませんでした(笑)「ならばもう自分で稼ぐしかない」と思い至ったわけです。


和田:副業が本業をしのぐ規模になったのはいつごろなんですか?


青山氏: AWSとColt DCSの在籍時には本業の収入を上回るようになっていました。「電験革命」を起点に、教材制作の依頼やスポットコンサルの問い合わせが増えていったのが大きかったですね。ただ私は石橋を叩いて渡るタイプなので、「家族の暮らしも数年分は大丈夫」という見通しを立ててから、ようやく独立に踏み切れました。


大洞:その後、順調に成長されていますよね。売り上げは第1期2,000万円、第2期6,400万円と、3倍以上の成長を遂げています。


青山氏:今期(第3期)は、1億8,000万円に到達できる見込みです。先ほど説明した3つの事業を組み合わせることで波の少ない収益構造になっていますから、自己資金と融資で拡大できているうちはこの体制を続けるつもりです。


インタビューの様子
インタビューの様子

けいはんなエリアの可能性と「関西でやれる」確信


和田:本社を「けいはんな学研都市(※)」に置いている理由を教えてください。


※正式名称は、関西文化学術研究都市。京都、大阪、奈良の3府県にまたがる丘陵地に築かれたサイエンスシティ。160を超える研究施設、大学施設、文化施設などが並び、各施設における研究者および職員は約1万2000人におよぶ。(参照:[公財]関西文化学術研究都市推進機構)


青山氏:一つは、私が所長を務めていたColt DCSのデータセンターに近かったことです。ただ他にも理由はあって、やはり自分の会社を立ち上げるのですから、ゆかりのある場所(青山氏は奈良高専の出身)に本社を構えたかったんです。それと、けいはんなエリアはこれからデータセンターがさらに集まる見込みですから、成長への期待もこの場所を選んだ背景にあります。


大洞:関西を拠点にすることへのこだわりはありますか?


青山氏:例えばVCなどから東京に住むように言われるスタートアップもいると聞きますが、私はその言葉に従う必要はないと思っています。関西は人件費も賃料も安いし、こちらで優秀な人材を育てることも十分に可能です。むしろ「関西に引っ越してでも入りたい」と思える会社を作ればいい、というのが私の考えです。


和田:今後の展望についても教えてください。


青山氏:データセンターの業界は、世界的にまだまだ伸び盛りですが、日本のシェアは世界の5%程度です。これから先進国としてキャッチアップしていくフェーズに入ります。


一方で、弊社が抱えている目下の課題は、私や副社長の片柳への業務の集中、いわゆる属人化です。今期は従業員を増やしながら、組織として自走できる体制をつくっていきたいと考えています。


大洞:AIの普及で急拡大するデータセンターで、コンサルから人材まで対応できるのは御社の強みですね。関西を拠点に、ますます飛躍されることを期待しております!本日はありがとうございました。


青山氏(左)と、副社長 兼 人材事業部長の片柳海(かたやなぎ・かい)氏(右)
青山氏(左)と、副社長 兼 人材事業部長の片柳海(かたやなぎ・かい)氏(右)

【生態会のコメント】

取材の途中、青山さんは「Data Center Map」というサイトを見せてくれました。北米や欧州の密度に比べ、日本はまばらで、しかも首都圏への集中が目立ちます。通信データ量が右肩上がりを続ける中、この「空白」はそのまま業界のポテンシャルです。


実際、近畿圏でも大阪都心やけいはんな学研都市、大阪北部の彩都といったエリアで の建設が相次いでいるそうです。この地図がどのように埋まっていくのか。その中心で青山さんたちはどのように 存在感を発揮していくのか、興味は尽きません。(ライター 和田翔)







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