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  • 執筆者の写真碩希 大澤

コミュニケーションに特化したボードゲーム研修で企業の「人」に関する課題を解決!

関西スタートアップレポートで紹介している注目の起業家たち。今回は株式会社DOERAINOで専務取締役を務めていらっしゃる橋本 雄志さんにお話をお伺いしました。同社はボードゲームを用いる研修という斬新なアイデアを武器に、企業内で起こる人間関係の問題を改善しています。

      取材・レポート:垣端たくみ(生態会事務局)、大澤 碩希(ライター)


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専務取締役 橋本 雄志(はしもと ゆうし) 略歴:2000年4月生まれ、甲南大学在学中。令和三年度から令和四年度まで個人事業として営業代行業を行う。令和四年度、株式会社DOERAINO設立、専務取締役就任。事業内容はボードゲーム研修、ボードゲーム制作。令和四年度、メイトリーエンコネクト合同会社設立、代表社員就任。事業内容は産業廃棄物処理に関するコンサルティング、営業代行。

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生態会事務局 垣端(以下、垣端):本日はどうぞよろしくお願いいたします。早速ですが事業内容について教えてください。


橋本 雄志氏(以下、橋本氏):人間関係の改善やチームビルディングを軸に今は離職率の改善や、内定者の辞退率の低下を図っていくサービスを提供しています。現在、辞職率は友人を職場に作ることで低下することがわかっています。辞退率に関しても、入社前から内定者と従業員との交流の機会を提供することで、同様に下がると言われています。そういった機会をボードゲームを使用して提供することで、改善を図っています。


垣端:どのような種類のボードゲームを活用されているのでしょうか。


橋本氏:実はボードゲームはドイツ発祥のものが多いです。ドイツで有名で流行っているのは、「カタン」などの一試合に二、三時間かかる戦略ゲームです。一方、日本で流行っているものはコミュニケーションゲームでして、それも日本だけ流行っています。なので、僕らは店頭で販売されている「ito」のようなトーク、会話で展開されていくようなコミュニケーションゲームを用いています。


垣端:御社では合計で何種類のボードゲームを保有しているのでしょうか。



橋本氏:おおよそ六百種類です。世界には二万種類以上のボードゲームがあると言われています。毎年、「コミケ(コミックマーケット)」が開催されますよね。それと同じ会場で東京ゲームマーケット通称ゲムマと呼ばれるイベントが開かれるのですが、そこだけで毎年約四百種類のボードゲームが発売されていると言われています。


垣端:なるほど。御社オリジナルのボードゲームが一万個売れたとお聞きしているのですが、詳しく教えてください。


橋本氏:「そこまで絞るには眠れない夜もあっただろう」というボディビルの大会をモチーフにしたボードゲームを作成しました。ボディビルの大会でマッチョの方がどのように声かけされるのか、ご存知でしょうか?


ライター大澤(以下大澤):はい、知ってます!


橋本氏:ボディビルの大会出てましたか?


大澤:いえ、筋トレが趣味だったので、多い時は週に4回程通っていました。


橋本氏:へー。じゃあ「腹筋6LDK」や「肩にメロンパン乗っけてんのか」という大会中で話題になった掛け声をご存知ですね。


大澤:はい笑 背中冷蔵庫という掛け声も聞いたことがあります。


橋本氏:あれをそのままゲームにしたんです。ゲームを作る際は、プレイヤーが没入できるかが重要な要素の一つにあるので、世界観を作ることが大切です。プレイヤーにはボディビルが大好きという設定があります。先ほどのような掛け声になる応援カードを引き続け、最後まで声を枯らさずに応援をし続けたら勝ちというのがルールです。逆に声を枯らしてしまい応援できなくなった、つまり応援カードを引けなくなってしまったら負けという流れです。まぁ、簡単にいうとマッチョをただひたすら応援しまくるゲームです。


垣端:聞いてるだけでも面白いですね(笑)。それはどのように販促をして、どのくらい売れたのでしょうか?


橋本氏:SNSでバズって約1万個売れました。当時は筋トレブームで、独特の掛け声がニュースに取り上げられていました。それを狙ってゲームを作った背景もありますが、結果的にテレビに取り上げられ、バズりました。


垣端:これからはそちらの商品を拡販予定でしょうか?


橋本氏:いや、新しいのを作っています。しんどいやつを(笑)。


垣端:しんどいやつですか?(笑)


橋本氏:はい。なぜ僕たちがゲームを作っているか、なぜ人材育成、組織デザインを20代3人組がやってるかって、よく聞かれるんです。ちゃうんです。僕らは確かにノウハウや知識では劣ってるかもしれないんですけど、コンテンツが面白いんです。コンテンツが強いんです。僕らは面白くなければ価値がないし、面白くなければ続かないという根底の元僕らは生きてるんです。なので飲み会にしろ研修にしろ何か面白いものが必ず必要なんです。ただ、面白いって歌ってる会社のボードゲームが面白くなかったら意味がないじゃないですか。なので僕達は面白いゲームを作ってるんですよ。そこで僕たちは「7秒間壊れるゲーム」を作りました。人が壊れるゲームです。



垣端:なかなか怖そうなパッケージですね。


橋本氏:これは簡単に言うと演技するゲームです。1人が審査員で他のプレイヤーにお題にあった演技をしてもらい、審査員が評価するというゲームです。ただそれだと全然壊れてませんよね。なので壊れ要素を追加していきます。審査員が一番壊れていたと評価された人が勝ちます。


垣端:かなりやりずらさを感じる人もいるのではないでしょうか?


橋本氏:実は、大喜利って自由度が高すぎるが故に難しさを感じるんですよ。でも、壊れ要素を追加することによって自由度を下げることができるので、参加しやすいゲームになっています。


垣端:本当に限界を突破できそうなゲームですね。


橋本氏:でも研修では使ったことはありません。僕達はゲームを作る時に研修用のゲームではなく、一般消費者向けに作っています。なんでドン・キホーテやロフトさんなどに卸せます。


垣端:こちらのパッケージにした理由は何ですか?


橋本氏:壊れてる人を考えた時に、怒ってる人だとなんだかヒステリックさが足りないと思いました、それで行き着いたのが、「少しニヤついてる人」です。それをパッケージにしました。


垣端:企業の課題や状況に適した研修を計画できるとお聞きしたのですが、具体的にはどんな企業さんからご依頼いただいているのでしょうか?



橋本氏:30億から60億円程の売上のある中小企業の2代目や3代目の社長様からのご依頼が多いです。


課題の一例としては、「企業の代謝を良くするために新入社員を積極的に採用していくが、中間管理職が育たない」というものがあります。中間管理職の育成のためには3年から5年ぐらいかかると言われてます。したがって、我々の研修ではポテンシャルのある従業員さんをピックアップしていただき、リーダー育成研修という名目でリーダーとしての最低限のスキルやコミュニケーション能力を高めていくことを目指します。


社長の吉本と「我ながらなかなか難しい業界に手を出したな」と話し合っています。というのも、そもそも研修を受け入れる体力のある企業さんが多くないからです。しかし、ボードゲームはとても性格が出るツールで、個々の思いを言語化する、表現するという点に関してはとても役に立ちます。なのでこの研修を、体験していただいた社長さんの満足度はものすごく高いです。ただ、1回目の研修を行うことのハードルが高いです。


垣端:一回目までのハードルを下げるために、何か行っていることはありますか?


橋本氏:ボードゲームイベントを開いています。大きく分けると3種類あります。1つ目はボードゲームが既に好きな方向け、2つ目はボードゲームをあまり知らない方向け、最後に経営者や人事部の方向けです。3つ目に関しては、他のボードゲームイベントと同じく1,000円程の参加費になります。内容はボードゲームを用いてチームビルディングに関することへ変更して開催しています。


垣端:体験者の満足度は高いので、まずは参加してもらえるきっかけを作りたいですね。そもそも、なぜこの事業を始めようと思われたのでしょうか?


橋本氏:私が元々営業代行の事業をしており、それが少し関係しています。当時は「時給1000円撲滅」という方針を掲げており、テレアポなど何をしてでも時給2000円程に設定していました。でも当時、採用した学生の無断欠勤などが相次ぎ、困っていました。そういった学生とどのようにコミュニケーションを取ろうかなどの悩みを抱えていました。


その時、現在専務取締役の杉原が地元でボードゲームバーをやっており、それに参加した時にボードゲームの可能性を感じました。そこで、学生たちを巻き込み、自身の会社でボードゲームをやってみたところ学生たちがとても話すようになったんです。しかも意外に深いところまで話してくれるようになりました。その感覚が吉本にもあり、杉原はゲームをして褒められる世の中を作りたい思いがあり、始めることに至りました。


実は、研修事業を始めたのは1年ぐらい前からです。ですが本業はどちらかと言うとゲーム制作ではなく、研修事業です。我々DOERAINOを表現する事業としてはゲームを使った、研修を用意出来るところにあります。



従来の経営に着目している戦略ゲームだと1試合に2時間程かかるので、従業員の方々はとても眠そうに研修を受けています。しかし、1試合が短く面白い、コミュニケーションというところに着目している我々の研修は参加した従業員の方も楽しそうにしており、他社との差別化にも繋がっているポイントだと思っています。

さらに我々はゲームで研修をやった後にクライアントの方に報告や提案をします。例えば、「この方はこういうところがあるのでこうして直そうと思ってるんですけど、どうですか」という内容です。コミュニケーション能力や人間関係という観点に特化している研修なのでしっかりサポートしていきます。なので我々は単発での研修も行うのですが年間で契約して頂く場合が多いです。



垣端:では次に今後の展開について教えてください。


橋本氏:我々はバリューを4つ掲げていて、1番最初に面白さ至上主義というのを掲げています。なので様々なエンタメが溢れていくような世界を作りたいと思っています。我々が面白いと思っているのはコミュニケーションであったり、人間関係に関するものなのでそこに関する面白いエンタメはどんどん出していこうと思っています。


垣端:具体的に、何年後にはこうなっていたいなどの目標があれば、教えて頂きますか?


橋本氏:目標は本当に抽象的なんですが、海外に進出したいです。というのもゲームというのは世界共通で人を楽しませることができ、そこに対する価値を我々が感じているので「必ず進出しないといけない」と考えています。


そして、ある社長の方に言われた言葉にかなり刺激を受けたのも理由の一つです。その方が仰ってたのは「僕は他の社長の方たちと比べたら能力は劣っている、でも戦っている市場の規模が全く違う、日本で戦っている人たちと比べると回っているお金の額が全く違うんだ。だから僕は勝っているんだ。」だったんです。なので海外には進出したいと思っています。



垣端:最後に何か伝えたいメッセージなどがあればどうぞ!


橋本氏:2つあります。1つ目は人事部や経営者の方って孤独になりがちで、飲み会の席でも本音まで言えないという方が多くいらっしゃるんです。なので愚痴でも何でもいいんで、「とにかく話したい!」と言う方を募集します。もう1つは社内でやるイベントなどでコンテンツが足りてないと感じている方がいれば連絡していただきたいです。我々のことはコンテンツを選ぶことに関してはソムリエだと思ってもらって大丈夫です!我々が一番力になれる分野です。例えば「うちはここで困っているんです」などあればすぐに適切なコンテンツをお伝え出来ます。


垣端:心強いですね。本日はありがとうございました!


 

取材を終えて:今回の取材の中でDOERAINOさんが作成した新作のゲームを見させていただきました。自然と会話が生まれるような作りのゲームであり、ゲームの説明を受けるだけで仲間たちとすぐに行いたくなりました!人間関係等の複雑な問題をDOERAINOさんが提供する楽しい研修によって解決できるのはとても魅力的に感じました。ワークライフバランスという言葉が広まってきた現代社会にて、DOERAINOさんが提供するサービスは人間関係の改善によって人生を豊かにする、という意味でもこれからの社会に必要だと感じました。本日は本当にありがとうございました!(ライター大澤)


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