• 拓実 入江

イベントレポート(後編):【Xport】ネットワーキングプログラム 「大阪・関西圏のスタートアップの動向(2021年春版)」

更新日:9月2日

2021年7月5日(月)に、都心型オープンイノベーション拠点「Xport」主催、ネットワーキングプログラム 「大阪・関西圏のスタートアップの動向(2021夏版)」が開催されました。(オンライン・オフライン両開催)


本レポートは前半第一部・二部の続きとなります。


                 レポート:入江拓実 (生態会 学生ボランティア)

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第三部では「大学発スタートアップの、今」を題材に、スタートアップ2社の株式会社ミルイオン代表取締役 小竹和樹 氏株式会社ローカルフラッグ 代表取締役 濱田祐太 氏による講義が10〜20分ほど行われました。それぞれの企業理念やこれからのことを説明してくださいました。



たった1本の髪の毛から健康を可視化

学生当時のことを振り返る小竹和樹氏

質量分析イメージング(MSI)は薄く切った試料表面を前処理し、質量分析という成分分析法を用いて試料表面に存在する成分をイオン化し、その分布情報を可視化する方法です。大阪大学の起業プロジェクト育成プログラム・最先端医療イノベーションセンターから研究開発費・企業開発費等の支援を得ることによって、適切な臨床研究を推進しました。また事業開発においては、経営顧問やアドバイザーからのアドバイスが得られる筑波大主催プログラムに参加したことがビジネスモデルのブラッシュアップにつながりました。


今後の取り組みとしては、一本の毛髪からあらゆる健康状態を可視化することが挙げられます。まるで映画のフィルムのように過去から経時的変化を含めて可視化するため、何日前に何を摂取したのか、どのような体調変化があったのかを簡単に知ることができます。パーソナルケア・ストレスケアや医療予防など今後の展開がとても楽しみです。



地域の旗振り役として活躍


ホップ事業について熱く語る濱田祐太氏

力を入れてれているのは与謝野町のホップ事業です。ビール製造だけではビール工場と変わりませんが、既存の社会問題である富栄養化に注目しました。富栄養化が原因で大量発生する牡蛎の有効活用ができないかと考えたところ、ホップ事業を通じて加工水質調整と濾過フィルターにつなげられるのではないかとアイデアが湧きました。今後は地域にコミットしながら中長期的に課題を解決する事業展開をメインとして進めていきます。


起業のきっかけは関西学院大学のプログラムでした。「IPOアントレプレナー100人創出」ベンチャー創成という授業では毎週上場企業経営者が登壇し、少人数座談会が実施されていました。経営者がなぜ起業したのか、起業して何が大変だったかを知り、「近い距離で話す」ことで刺激を受けることができました。関西学院大学では現在、学生企業を応援するゼミやベンチャー新月会を実施することで新たな事業提携の機会を設けています。



第4部はパネルディスカッションでした。登壇者に加え、松井謙二 氏(大阪工業大学 ロボティクス&デザインセンター長)が参加しました。今後の関西スタートアップの動向について熱い議論が交わされました!(モデレーター:西山)



西山(生態会):皆様、関西の底力がわかる、重厚壮大な発表をありがとうございました。まずは本日の会場である大阪工業大学(大工大)の松井様、事業のご説明をお願いします。


松井氏(大工大):大工大は、今年101周年を迎えた特色ある大学です。現在は商工会議所協力の下、このXportフロアでオープンイノベーション活動を展開しています。企業と学生が一緒に課題解決を考える活動では、多くの「種」が生まれます。企業の皆様と連携することで種を拾い、ともに製品開発推進につなげていきたいと考えております。  


西山:なるほど。活動は今後も広がっていきそうですね。海外で言いますと、京都大学の楠美様は国外の大学の活動も参考にされていたりするのでしょうか。


楠美氏(京都大):そのまま日本に移植することは難しいのですが、海外の大学活動も参考にしています。どこに拠点を置くかによって日本のスタートアップができることが変わり、また我々が学ぶべきことが変化します。先進的な取り組みを知って、できるだけ日本に消化するということは考えました。培ってきた国民性や風土によって、行動に移しにくいこともありますが、民間の共同ラボやVCとスタートアップの人がディスカッションできる環境は日本にも取り入れられると思います。今後そういった気軽なコミュニケーションの場を積極的につくっていきたいです。



パネルディスカッションでは、忌憚のない意見交換

西山:そうですね、まさにこの場も情報共有やコミュニケーションの場と言えますね。日本はまだ就職するという概念が強いと思いますが、学生時代に起業されたお二人はなぜ起業という選択をされたのでしょうか。


小竹氏(大阪大):実は就職活動をして内定をいただいていたこともあるのですが、起業したのは「おもしろそうだな」の一言に尽きますね。それまで起業に興味はなかったのですが、ある時「夢のある事業」を知り、これは自分がやるしかないと感じたのです。当時カルフォルニアのアクセラレーションプログラムに参加したのですが、アメリカ大学職員の中に起業家がいて、相談が気軽にできる環境がありました。その環境はすごく自分に影響を与えたのではないかなと思っています。


濱田氏(関西学院大):私は大学3年生の時は絶賛就職活動中で、かなり頑張っていた方だったと思います(笑)。ただ企業の人に「将来地方でこういうことをやりたい」と話したところ、「自分でやってみたら」と言われたことも結構あって。終身雇用も保証されていない人生100年時代。キャリアを考えると、体力と気合が1番あって先入観のない20代に、どれだけやりたいことに一生懸命チャレンジできるかが、30代40代を豊かにすることにつながるんじゃないかと思うようになりました。学生時代は東京の起業家支援イベントに参加するなど、メンターの力も借りながら仲間づくりに励んでいました。


西山氏:2人とも、身近に相談できる相手が大切だったということですね。アメリカなどでは、このようなサポート体制は変化しているものなのでしょうか?


松井氏:やはり。ネットワーキングが大事だなと思っています。シリコンバレーでパークという研究があったのですが、毎週金曜日に数百名が聴くような場で1時間講演する機会がありました。さらにそれら全てをビデオに残し、ウェブ上でも見られるようにするインフラづくりに励んでいました。またプログラマーのネットワークをつくるということで、例えば40~50代が集まるところに67歳の現役プログラマーが参加するなど、「流動性」が出てくるわけです。人の流れのダイナミクスは大変面白く、チームの原動力にもなります。私はぜひ大阪でこれを実現したいですし、多くの企業と学生と夜な夜な議論することが定着したらいいなと思っています。


西山氏:なるほど、ありがとうございます。関西はまだまだこの人材の流動性が低いのかなと思います。どのように解決していけばいいものでしょうか。


楠美氏:そうですね、1つのことだけで解決するとはいえませんが、例えばシリコンバレーでは物理的距離があっても、みんなが気軽に行き来をしています。日本ではVC側が東京に集中していますが、関西とをつなぐ交通網が極端に不便なわけじゃない。上手く連携してネックとなっている「何か」を取り除きたいですね。


濱田氏:地方で何か面白いことをしていると「目立ちやすい」ため、月に1・2件は「求人やっていますか」というように、大学生や若手社会人が向こうからやってくる気がします。関西・地方でやるから人を集められるという利点はあると思いますね。


西山氏:私も取材などを通じて、情報発信はしていないけれどすごい技術を持っている企業はたくさんあると感じています。そこの発信を、生態会が担えればいいなと思います。



今回は大学発スタートアップならではのお話が中心に行われていました。現大学生の私にとっても視野の広がる興味深いお話であり、様々なスタートアップの事例や関西ならではの取り組みを垣間見る良い機会になりました。


生態会では、今後も毎月、スタートアップに役立つセミナーを開催していきます。

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