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ニューロサイエンスで、集中力や認知能力を向上させる技術を開発:Ghoonuts

更新日:4月25日

関西スタートアップレポートで紹介している、注目の起業家たち。 今回は、ニューロサイエンスで人間の能力を向上させる技術を開発しているGhoonuts株式会社の代表取締役 都志宣裕氏に取材しました。


取材・レポート:西山裕子(生態会 事務局)・田代蒼馬(生態会学生ボランティア)

 

代表取締役CEO 都志宣裕 略歴


1990年岡山県生まれ。 東京農業大学応用生物科学部卒業後、会計事務所に勤務し、その後は京大発ベンチャーaceRNA Technologiesを共同創業。CFOとして約5億円弱の資金調達を実行する。2020年にGhoonuts株式会社を創業。


■Ghoonuts、その事業概要


生態会 田代(以下、田代):本日はお時間をいただき、ありがとうございます。ではまず初めに、Ghoonuts株式会社の事業概要を教えていただけますか。


Ghoonuts株式会社 都志氏(以下、都志): 私たちは、ニューロサイエンスで人間の能力を向上させる技術を開発している会社です。具体的には、経頭蓋電気刺激と呼ばれている刺激をヘッドデバイスを通して人間に与えることで、脳活動の活性化をサポートしています。


Ghoonutsが開発を進めるヘッドデバイス。現在プロトタイプをブラッシュアップ中。

田代:貴社の技術は、具体的にどういったシーンで活用されるのでしょうか。


都志:脳刺激を与えることにより、注意力や認知能力の向上が期待されます。 よって、スポーツ、医療や芸術といった幅広い分野での活用を想定しています。


例えば、デスクワーク等、日常の作業により集中したい方に対して、20分間デバイスを通して脳刺激を与えることで、より作業に集中した状態を作り出すことができます。


脳刺激によって、可能になることが多いと言う。

田代:「集中力」というのは、なかなか定量的にデータを計測するのが難しい指標かと思いますが、既に実証されている結果などはありますでしょうか。


都志:はい。カフェインなど他の刺激と比較して、脳刺激を与えた場合、注意力テストのスコアをより上げることができるということが、自社研究から数値ベースでわかっています。


また、集中力を上げる手段として医薬品やサプリメントといったものも考えられますが、副作用や依存性、効き目の弱さといった問題があります。

そういった課題も解決するプロダクトとして、あらゆる分野で能力を最大限に発揮し、ハイパフォーマンスを上げたい個人に、プロダクトを届けていきたいです。



■誰もがハイパフォーマンスを発揮できる社会を目指す


田代:「個人のパフォーマンスを上げたい」と都志さんが考えたきっかけは何かあったのでしょうか。


都志:私が最終的にやりたいのは、「記憶」というデータの移転です。

例えば、「逆上がりのデータ」といったものに瞬時にダウンロードできれば、人間はやりたいことを実現できる、という風に考えています。


私自身、昔から努力することや、練習することががあまり好きではありませんでした。


例えば、人々は運転免許を取得するためにドライビングスクールに何ヶ月もかけて通い、技術を習得しますが、その時間や費用は無駄だと考えています。


「運転技術をダウンロードし、明日から車に乗れる」

そういった世界を実現したいと思っています。


その結果として、個々がハイパフォーマンスを発揮できる世界を実現したいです。


個々が、ハイパフォーマンスを発揮できる世界を目指す。

■想定する顧客・課題


田代:プロダクト開発の後に、どのような顧客を想定していますでしょうか。


都志:法人向けの製品販売を考えています。

スポーツクラブや施設、コワーキング施設を顧客として想定しています。

いずれも、脳刺激デバイスを会員に導入してもらうことで、月額あたりの利用料をいただくビジネスモデルを想定しています。デバイスの提供のみならず、データ解析などのアフターフォローも行います。


田代:なるほど。データ解析などのアフターフォローは、非常に魅力的に感じます。

ところで、事業を行う上での課題があれば、教えていただけますでしょうか。


都志 : 大きく2つあります。


1つ目が、脳刺激による効果を、顧客に正しく伝えることです。


先ほど、注意力が向上するという数値データが存在するという話をしましたが、主観的なデータの蓄積に課題があります。


「データからはわかるけど、実際どうなの?」といった感じです。

脳刺激を受け取った際の主観的な効果をヒアリングしていきたいと考えています


2つ目が、商品として販売する際のマーケティングです。

プロダクトの販売先として、法人、個人どちらに注力するのか。

脳刺激によって得られる能力として、認知能力、集中力どちらにフォーカスするのか。


実証実験やヒアリングを通して顧客のニーズを理解し、プロダクトが人間のハイパフォーマンスを引き出すことに貢献できるよう、技術開発のみならずマーケティングにも力を入れていきたいです。



スポーツジムなどへの導入を、予定している

■今後の展望


田代:今後の展望を教えていただけますでしょうか。


都志:先ほどお話しした、「主観的な効果」に関連して、それらの効果をはっきりと認識できる層をメインターゲットに、ヒアリング・実証実験を行なっていきたいと考えています。


効果を実感できる人をターゲットとして考えているのは以下の通りです。

1 50代以上の方

2 日常的に心のアップダウンがある方


これらの方に実際にプロトタイプを使用してもらい、量産を見据えてブラッシュアップしていきたいですね。


人間のパフォーマンスを、数値面から向上させるのもそうですが、主観的にそれを実感していただけるようなプロダクトを目指していきたいです。


研究開発から、実際の製品化へと動き出している。

田代:非常に興味深いお話を聞かせていただき、ありがとうございました。今後のGhoonutsがどう事業を展開されるのか、楽しみです。



【取材後記】

取材後に、以下2点のリリースがありましたので、記載させていただきます。


・2022年2月28日に、資金調達を実施され、オーバルベンチャーズ壱号投資事業有限責任組合、京信イノベーションC2号投資事業有限責任組合、15th Rock Ventures Fund 1投資事業有限責任組合よりプレシード出資を受けました。


・2022年3月16日、株式会社アシックスと、脳への電気刺激技術が身体などの能力にどのような影響を与えるかについての共同研究を開始しました。


 

取材を終えて


攻殻機動隊の世界観に影響を受けて、世の中の進歩を信じてやまなかったという都志氏。「脳に関することがしたい」というぶれない気持ちでニューロサイエンスの分野に取り組む姿勢からは、事業に対する強い信念を感じました。 集中力などといった「能力」は自分自身も含めて先天性な面が大きいという意見が多い中で、科学の力でその能力を拡張することができれば、社会にとってとても意義深いサービスになると感じました。 経頭蓋電気刺激によって脳活動を活性化させる製品は日本にはまだなく、アメリカやイスラエルで流通している海外の製品にも課題が多いといいます。今後、Ghoonutsの製品が研究開発のフェーズを経て、消費者の手に渡る日が待ち遠しいです。(生態会 田代)





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