関西スタートアップレポートで紹介している注目の起業家たち。テクノロジーの力で、今まで日の目を見なかったサービスに“陽”を当てる無料のInstagram分析ツール『HINOME(ヒノメ)』や、SNSを基点としたデジタル マーケティング事業を展開しているHinome合同会社 CEO 中家直也さんにお話を伺いました。
取材・レポート:垣端たくみ(生態会事務局)
大橋真衣(学生スタッフ・写真撮影)
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中家 直也 略歴:マイナビにて人材紹介事業や、新規事業の立ち上げを務める。西日本エリアにて300を超える企業のビジネスプランのコンサルティングを経験。その後、クラウドワークスに転職し関西エリアの事業拡大を経験し、ヘッドハンティングにてSNSプロモーション会社のCOO(最高執行責任者)としてプランニング〜運用を経験。その後、2021年10月代表に就任。
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Hinomeのサービスについて
生態会事務局 垣端(以下、垣端):本日はお時間をいただきありがとうございます!早速ですが、現在の事業内容について教えていただけますか?
Hinome 中家氏(以下、中家):大きく分けて二つあります。一つ目は、企業様のSNS運用代行やコンサルティングです。私たち以外にディレクターやプロデューサーなどのメンバーと一緒に、お客様のSNSアカウントを成長させるサポートをします。
二つ目は、Instagramに特化した完全無料の分析ツールを展開しています。これからSNSを成長させたい方でも直感的に分析が可能です。コンサルティングとシステムを活用してお客様の目標・目的を達成していく会社です。
垣端:創業のきっかけを教えていただけますか?
中家):私と時吉(共同経営者)は以前同じ職場で働いていたことがあり、その頃から二人で新しい会社を始めようと思っていました。そして、今からちょうど一年前に法人登記をしました。Hinomeという社名は、「世の中に陽の目が当たっていない商品やサービス、人を可視化して社会に発信をしていきたい」という思いでつけました。
私は奈良県出身で、奈良県で創業しました。奈良と聞くと”鹿”や”大仏”のイメージが強いと思います。それら以外にも、奈良県ならではの素晴らしい商品やサービスが多数存在しているものの、まだ世の中で知られていないものも多々あります。世の中で知られていない素晴らしい商品やサービスが世の中で注目を集められるように、SNSを通じてご支援していきたいと考えたのがきっかけです。
垣端:クライアントはSNSにどんな課題感を抱いているのですか?
中家:主に集客に関する課題です。若者に認知を広げたり、見込顧客にリーチするというためには、SNSを上手く運用する必要があります。また、企業の規模が大きくなればなるほど、一つの発信に対する責任が重くなるので、そこにも細心の注意を払う必要があります。
垣端:御社では新規顧客開拓はどのようにされていますか?また、今のSNSのノウハウは前職で培われたのですか?
中家:テレアポなどはしたことがなく...全てご紹介と繋がりです。時吉が前職より以前に、接骨院を経営していた時代があり、その集客をSNSで自ら行なっていました。その過程でのノウハウと実績を積み重ねることができました。
垣端:SNSの運用やコンサルティング、分析ツールがたくさん存在する中で、御社の強みは何ですか?
中家:関西で近いサービスを有する企業は1.2社程で、優位性で言うと、三つあります。一つ目は、UI・UXにこだわっている点です。二つ目は、基本的に完全無料で利用できる点です。三つ目は、AIを導入している点です。そして私たちはBtoBのナショナルクライアントがお客様で、大手企業と直契約をしているという点は他社にはない強みであると感じます。
垣端:法人のアカウントと個人のアカウントの運用は違いますか?
中家:違いますね。例えば、企業様が集客をする時はマスに向けて認知を大きく広げなければならず、短期的な売上ではなく長期的な視点を持つ必要があります。
完全無料のInstagram分析アプリ【Hinome】
垣端:システムについては完全無料で展開されており、HPでは1000社以上が登録をされていましたが、今もアカウント数は増えていますか?また、のちに有料プランに移行されるのですか?
中家:はい、登録社数は増加しております。有料プランについては、現在、利用可能な機能の移行は考えておりません。また、システムで解決出来ない課題や、社内のリソースが足りない などといった、お悩みを抱えている企業様には、コンサルティングをご提案させていただいております。
垣端:企業様が御社に依頼されるにあたって、期待されることは何ですか?
中家:SNS運用だけではなく、一緒にKPI・KGIを設計していくところを期待されています。お客様が本当に達成したいことを整理しながら、プロジェクトを進めていくことを常に意識しています。
垣端:企業様にとってそれは心強いですね!今後、注力していきたい事業は何ですか?
中家:『HINOME』の導入社数はもっと増やしていきたいと考えています。今はBtoBの企業様への価値提供を重視していますが、将来的にはBtoCの個人向け、一人一人の見えていない価値観や潜在的な能力を可視化できるようにしたいです。例えば、就活生のポテンシャルが見えるスカウター ※のようなことができれば面白いと思います(笑)その人が見えてない新しい職業が見えてきたり、自分の気づいていないことが見えたりするなど、その可能性を秘めているのがSNSという一つのツールなのかなと考えます。
※スカウター:漫画「ドラゴンボール」シリーズに登場する、他者の能力を測定できる架空の装置
垣端:キャッシュポイントを持ちながら、新規事業も展開していく経営方針なのですね!手堅い事業と新規事業のバランスに対するこだわりはあったりしますか?
中家:もちろん最初からBtoCに事業も展開したかったのですが、対外的に理解されづらいのと、開発コストや工数、ローンチまでの期間が大きく掛かるので、現時点ではBtoB向けに認知を広めようと考えております。また、溜まったデータは無駄にならないので、まずはBtoBで駆け抜けて、のちにBtoCに拡大したいと思います。
会社の成長課題
垣端:御社の成長スケジュールは大体予定通りですか?
中家:ある程度、多くの企業様にご利用いただき、少しずつ拡大していますが、欲を言えば「もっと売上と利用企業数を伸ばしたいです!」。現在、大手企業様やITベンチャー企業様と協業開始について準備を進めており、近いうちに業界シェア率1位を獲得する想定をしています。
垣端:今後の資金調達の計画やその使い道は決まっていますか?
中家:資金調達は変わらず行っていく予定ですが、できるだけデッドで調達し、必要に応じてエクイティをは検討できれば良いかなと思います。使い道はシステムの開発費用です。
垣端:社員さんやチームメンバーも増えている状況ですが、採用などについて課題はありますか?
中家:エンジニアの採用が難航しています。今東京にいるメンバーの中にはフリーランスで関わってくれていたり、カメラマンとして活躍している人もいます。優秀なメンバーをより増やすために、私たちのサービスや会社を大きくしていく必要を感じます。
今後の展望について
垣端:上場は考えておられますか?
中家:はい、2026年を目標にしています。奈良から上場企業が生まれることはとても注目されるのではないかと考えます。
垣端:チームメンバーが増えてきた中で、上場を見据えた目的の共有などはされていますか?
中家:上場してからのビジョンやミッションというのはまだ伝えきれていませんが、自分達が社会にどういった良い影響を与えていきたいのかというのを日々言い発信することが大切だと思います。結局、上場もゴールではなく、一つの手段でしかないです。
垣端:あくまでも上場する目的は、より多くの方々に支援を届けられるためということですか?
中家:そうですね。最終的にBtoCに向けて展開したい人の考えを可視化することは、お金もかかりますし様々な課題があります。
しかし、日々自分が何気なく発した言葉や経験は自分の人生に大きな影響を与えているはずです。それらの情報から自分に向いている職業や隠された能力を見つけたり、推測することができるようになると思います。
知らない自分に出会う手段として『HINOME』が当たり前に使われる世の中を作りたいです。日々の出来事を投稿するSNSを振り返れば、自分の成長を時間軸で振り返ることができます。そこから新たな気づきが得られることもあります。
私たち自身も、特別頭の良い人間ではないですが、工夫さえすればどのような事業でも戦えますし、社会の偏見を覆すこともできます。ジャイアント企業へと成長していくことを目指します。
取材を終えて:人の目に見えていないものを可視化し、それが人の成長や幸せに繋がる世の中にしていきたいという思いに感銘を受けました。あくまで「お客様と共に」を大切に、SNS運用やコンサルティングをしていることと、手段や生き方にこだわらず、何でも受け入れ夢を追いかける姿を見て、私も自分の中の固定概念や常識に囚われずに過ごしたいと感じました。色んな生き方や選択肢を持って、これからの大学生活を過ごしていこうと思います。(学生スタッフ 大橋)
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