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起業家教育インタビュー:近畿大学

関西の大学でどのような起業支援があるか、訪問してヒアリングするこの企画、第三弾は近畿大学です!第一回の大阪府立大学第二回の関西大学の紹介はこちら。

2019年8月1日、近畿大学にお邪魔し、アカデミックシアター事務室の寺本大修さんと長岡幸子さんに、お話を伺いました。


レポート:生態会学生ボランティア 難波 黎旨


アカデミックシアター事務局の寺本さん、長岡さん。手前インタビューは難波

難波(生態会):本日はお時間割いて頂き、ありがとうございます。早速ですが、まず起業家支援を始めたきっかけについて、教えてください!


寺本さん(近畿大学)以下敬称略:世の中の変化と共に、学生に求められる資質も変わってきています。そして、近畿大学も大きく変わろうとしています。


3つの改革方針があり、1.”関関同立”を偏差値で追い越す、2.世の中の役に立つ大学になる、3.偏差値で測れない価値軸を持つ、というものです。起業家教育に関しては、3つ目の”偏差値では測れない価値軸”、を意識して行なっています。未来が不確実なこれからの社会において、環境の変化に対応できる学生を、育てていきたいという思いがあります。


難波(生態会): ”偏差値だけでは測れない価値軸”、これから本当に重要となる考え方だと思います。実際に起業を目指す学生に対して、サポート体制はどうなっていますか?


寺本(近畿大学):東大阪キャンパスでは、今話しているACADEMIC THEATERを中心に様々な活動が行われています。2017年にオープンし、本格的な起業家育成も3年目に入りました。支援プログラムとして、大きなものを3つ紹介します。


1つ目は、Lean Launchpadというものです。これは、スタンフォード大学で教鞭をとる起業家Steve Blank氏が提唱するプログラムをもとに、実施しています。初心者でも手順とコツを学ぶことで、効率的にアイデアや研究成果の事業化を進める力が身につく起業家育成プログラムです。


2つ目は、「KINDAI STARTUP ACADEMY」です。学習と実践を組み合わせた起業経験プログラムで、多くの学生からのエントリーがあり大変好評です!



3つ目は、先週から始まった「OKonomi」というプログラムです。VCや起業家など専門家による審査会を通し、ビジネス性が認められた学生及びチームに、初期起業支援として30万円の法人設立資金を授与します。 法人設立後は、専門家による支援サービスを1年間受けることができ、ビジネスを成長・継続させるための応援が得られます。大学との資本関係は、全くありません。学生がいったん打席に立ち、起業経験を支援するのみです。

すでに3チームが認められ、事業を進めています。今年1年で10件、5年間で100件の学生起業家の輩出を目指し、日本で一番ベンチャー企業が生まれる大学を目指しています!

難波(生態会): 起業マインドを持っている学生にとって、経済的にも知識的にもとても助けになるプログラムですね!ちなみにこのOKonomiというプログラム名は、どういう意味があるのですか?


寺本(近畿大学):大阪らしく、「お好み焼き」をイメージしています。「お好み焼き」の形や具材、味付けは焼く人の好みで自由であるということから、「起業」も学生それぞれが個性と想いを自在に表現すべきであると考え、このネーミングにしました。いろんなものが混じり合っている感じ、街で言えばキタではなくミナミ、東大阪らしさとも言えますかね(笑)。いわゆる、”キラキラしたIT企業”でなくても良い、近大らしく泥臭く、粘り強いスタートアップが生まれてほしいです。


難波(生態会):様々なサポート体制が整っており、学生は起業することができる環境にあるのですね。大学が、目指す起業の形はありますか?

近畿大学卒、NTT西日本で新規事業開発を担当したという寺本さん。母校の発展に貢献したいと、熱く語ってくださいました。

寺本(近畿大学):どのような起業の形でも、いいと思っています。目的は、学生個人がやりたいことの支援をしていくということです。

起業して失敗すれば、人生が終わってしまうように感じる人は多いかもしれません。が、そこまで覚悟を持たないといけないわけではなく、”自分がやりたいことを一旦やってみる”、という前向きな気持ちをサポートしていきたいです。近大生ベンチャーを支援し、まずは圧倒的な量を出していきたいと思っています。そのために、5年間で100社立ち上げという目標を立てています。4年間のうちに、自分で事業を回す経験をして欲しいですね。


難波(生態会):学生の期間中に、法人立ち上げから事業を行なっていくサイクルを一周するには、かなり時間が必要だと思いますが、低学年をターゲットにしているのですか?


寺本(近畿大学):イベント自体は、低学年のみを対象にせず、全学年を対象にしています。イメージとしては、1年生で起業について勉強し、2年生で会社を立ち上げて、3年生で全力で推し進め、4年生でさらに進めるかExitをするか決める感じです。学生時代の、貴重な経験になります。


難波(生態会):大々的にやること、そしてタイミングを見計らってイベントを開催することで、幅広い学生を集めることが出来ているんですね!近畿大学の卒業生で支援をしてくれている方はいますか?


寺本(近畿大学): 金銭的な支援を受ける関係性を持った方は、まだいません。しかし、講演などには、卒業生の起業家が多数登壇しています。定期開催しているイベントや近大サミットなどを介して、コミュニケーションができる土壌を作っています。


難波(生態会):近大らしい取り組みですね!色々な方と繋がりが生まれるチャンスがたくさんあり、羨ましいです!現状の課題点は、ありますか?


寺本(近畿大学):2点あります。1つ目は、目立つ有名な起業家との繋がりが弱い点です。2つ目は、まだ事務局側の活動も始めたばかりで、ほぼゲリラ戦法(笑)。面白いことをするために押し切っていますが、属人的な動きになりがちです。これからは組織として、構造化していかなければいけないと思っています。助成金など公的な支援をもらうのも、プログラム継続のために、必要ですね。


難波(生態会):かなり手厚いバックアップがあるように見えますが、実は泥臭く、大変な部分が多いんですね。最後に、起業を目指す学生たちに一言ありますか?


寺本(近畿大学):近畿大学では、幅広い起業支援を行なっています。イベントの中には、他大学の学生も参加できるオープンな講座もあるので、近畿大学以外の学生も巻き込んだシナジーが起きていけばいいと思っています。ACT EXでは近畿大学の起業関係の情報が載っています。外部公開もしているので、ぜひチェックしてみて下さい!


また、近大生も大学内だけではなく、外部とつながり、より広い世界を見てほしいと思います。その点では、生態会とも連携して、関西の起業に関する情報交換や、ネットワーク強化ができれば良いですね。



インタビューを終えて:

明るい日差しが注ぐ近畿大学アカデミックシアターの図書館には、7万冊の本が文理問わず、テーマ設定で配置されています。その3割は漫画!学生がミーティングやワークをする部屋、CNNが流れるカフェなど、魅力的な施設が多々ありました。本との偶発的な出会い、人とつながりが生まれる場であり、いつまでもいたくなる、居心地の良い空間でした。


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