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国内唯一!自由診療に特化したクラウド型の電子カルテ サービス:メディベース

関西スタートアップレポートで紹介している注目の起業家。今回は、自由診療に特化したクラウド型の電子カルテサービスを提供する株式会社メディベース代表取締役 山路 規矢(やまじ のりや) さんです。

<山路氏略歴> 分包機トップメーカー湯山製作所、電子カルテパイオニアのセコム医療システム、訪問看護記録システムのスタートアップ eWeLLの取締役など、18年に渡り、一貫して医療×IT領域で電子カルテに携わる。山路氏ご自身が開発したクラウド型電子カルテ「MEDIBASE」を事業化すべく2016年に起業。2018年に自由診療に特化したサービスに転換し、今に至る。

生態会 森(以下 森):今回は、国内唯一のサービスを展開する関西の注目スタートアップです。山路さん、よろしくお願いいたします。まずは、事業概要を教えてください。

メディベース山路氏(以下、山路):自由診療クリニック向けに「自由診療」に特化したクラウド型電子カルテサービス「MEDIBASE」を提供しています。使いやすさにこだわり、直感的に操作できるよう私自身が開発したWEBサービスで、おかげさまで、導入していただいたクリニックには、好評をいただいております。初期導入費用14万円、月額5万円弱、クラウドなので機器購入は不要で、すぐに導入できます。

 自由診療クリニックというのは、保険診療に該当しない分野を専門とするクリニックです。例えば、美容皮膚科や発毛、整形、アンチエイジング、再生医療などですね。保険診療の医療機関は国内に10万件以上ありますが、自由診療クリニックは大都市中心に全国で2~3000件と、マーケット規模が全く異なります。そのため、保険診療の電子カルテ市場には、大手からベンチャーまで多くの企業が参入し、価格も機能も多様なサービスが数多くありますが、自由診療に特化した電子カルテは国内に1種類だけ、しかも、クラウド型ではない、というのが、私がこのサービスを始める前の状況でした。



:山路さんは電子カルテ業界に長くいらっしゃるんですよね。当初から、自由診療クリニック向けサービスの不足に着目して、「MEDIBASE」を開発されたのですか?


山路:実はそうではないんです。セコム医療システム在籍時に起業しようと決心し、元々、趣味でやっていたWEBサイト制作技術を活用して、当時は珍しかった電子カルテとレセコン(注記参照)の一体型をクラウドで提供する保険診療向け電子カルテサービスを、1年程かけて自分で開発しました。


注記:保険診療のクリニックを運営するには、診療記録を書く「電子カルテ」と、医療費を請求する「レセコン」の2サービスが必要



 2016年に会社を辞め、ビジネスをスタートしましたが、起業後1〜2年はまったく売れず、本当に大変でした。医師に見せると皆さん「これはいい!」と言ってくれるし、自分でも使いやすいサービスだという自信はあったのですが、保険診療の電子カルテはすでに多くのプレイヤーがいて、市場に入り込めなかったんです。「知られていなければ、発売してないと一緒」という状態でしたね。


 その頃、GVH Osakaに入居しており、アレン・マイナーさん(生態会理事長)のメンタリングを受ける機会がありました。その時のアレンさんのアドバイスが「専門的に何かに特化すべき」というもので、とても心に響きました。同じ頃、HPの問い合わせから、ようやく最初の1件が成約、その顧客が自由診療クリニックだったんです。この最初の顧客と、アレンさんのアドバイス、二つがつながって「自由診療だ!」と閃き、一気にサービスを修正、自由診療特化型に振り切ったのが2018年です。


:2018年といえば、アレンが率いるサンブリッジグローバルベンチャーズがGVH Osakaを運営していた頃ですね。そんなご縁があったとは知りませんでした!自由診療に特化してからは、新規顧客がどんどん増えているそうですね?


山路:はい、HPへの問合せと、顧客の口コミで順調に成長しています。最近、月間の新規契約数9件と新記録も達成し、非常に好調です。市場が小さいので、広告費などは最低限にしていますが、その分、サービスを充実させることに注力しています。


:「MEDIBASE」の開発にあたり、こだわった点はありますか?


山路:開発者としての私のポリシーは、使いやすさです。サポートの必要がないくらいシンプルに、迷うくらいならリリースしないと決めています。例えば、電子カルテは、通常、画面の上にもう1個、小さな画面が開いて入力する、という作りになっており、入力してる時に、所見が隠れてしまうなど不便が多いんです。「MEDIBASE」はカルテ上で入力・検索・参照できるのが特徴です。情報の入力に関しては、直感的に操作できる・クリック数が少ないなどの効果が得られる「独自の入力機構」を開発し、特許申請中です。この入力機構のおかげで直感的に操作できるため、例えば、非常勤の先生でも、当日、診察前に少し説明すれば使いこなせるなど、導入クリニックには、大変喜んでいただいてます。


 電子カルテは業務システムなので、扱う情報が多岐にわたります。特に、保険診療は制度が複雑で、かつ頻繁に変わるため、電子カルテも操作が難しく、ユーザーからの問い合わせも多い。売り手にとっても、とても手間がかかるサービスです。それに比べ、自由診療はシンプルですし、「MEDIBASE」自体も使いやすさを追求していますので、結果として、ユーザーからの問い合わせが極めて少なく、顧客が増えても業務量は増えないという、よい状況を作れています。


:なるほど!やはり、お客様の満足が大切ですね。ところで、新型コロナウイルスに関して、御社のビジネスに、どのような影響がありましたか?


山路:新規顧客も増えていますが、コロナの影響で、商談が全てオンラインになったのが、ありがたい変化でした。HPからの問合せでも、顧客からのご紹介でも、これまでは、対面での説明を求められることがほとんどだったので、自由診療クリニックが多くある東京などへ頻繁に出張していました。最近は出張が激減し、とても効率的になっています。


:オンライン商談の増加が、関⻄のスタートアップにとって追い風になっているとは心強いです。最後に、今後の展望を教えてください。


山路:2020年9月時点の契約件数は約100件、2020年に自由診療特化の電子カルテ市場で年間新規契約数トップ、2025年にはシェアトップになることを目指しています。 そのために、チームを強化しており、最近、営業担当も増員しました。引き続き、エンジニア、営業、カスタマーサクセス、マーケターを募集しています。機能面では、SalesFroceとの早期連携の実現をはじめ、CRM、予約、在庫管理、経営分析などサービスを拡充し、総合サービスとして進化させていきたいです。

生態会からコメント 山路さんの起業のベースは「医師や看護師の役に立ち医療業界に貢献する」とい うミッションと、趣味として熱中したWEBサイト制作技術。2つの相乗効果でオンリーワンのサービスをご自身で開発しました。よいサービスを作り、勝てる市場に特化し、売り込む事なく口コミとHP流入で新規獲得するビジネスモデルは、リソースの少ないスタートアップの勝ち方として参考になります。関⻄発のオンリーワンとして応援しています! (生態会 森)