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  • 執筆者の写真森令子

製造業の「困った」を解決!営業を極める新ビジネスモデルで急拡大:ノヅック

更新日:2023年10月2日

関西スタートアップレポートで紹介している注目の起業家たち。今回は、機械製造などのメーカーと部品加工工場など協力会社をつなぐ「ものづくり支援」事業を展開するノヅック株式会社 代表取締役社長 堅田 壮一郎氏にお話を聞きました。

取材・レポート:西山裕子(生態会事務局長)

森令子(ライター)



 

堅田 壮一郎(かただ そういちろう)氏 略歴

1986年、大阪市生まれ。新卒で会計事務所の営業経験後、コンサルタント会社役員、議員秘書を経て、衆議院選挙に2回出馬するも落選。家業である、1951年創業の大阪圧搾コルク株式会社に入社し製造業の魅力に開眼。製造業の抱える業界課題の解決を目指して、2022年1月に営業部門を分社化しノヅック設立。

 

■創業70年の金属加工会社から分社。全国6200社の協力会社ネットワークで最適な部品調達を実現


生態会 西山(以下 西山):本日はよろしくお願いします。まずは事業内容を教えてください。


ノヅック 堅田氏(以下 堅田):機械製造などのメーカーと、鉄工所をはじめとする協力会社をつなぐ役割を担う「ものづくり支援」事業を展開しています。具体的には、顧客であるメーカーから金属加工部品の依頼を受け、 全国6200社以上の協力会社から最適な発注先を選定、製造された加工部品をメーカに納品しています。鉄工所にとっては受注獲得のための営業機能を担い、メーカーにとっては低価格と確かな納期で高品質の部品調達を実現する機能を担っています。


既存の商社との違いは色々ありますが、最大の特徴は徹底的な専業化・分業化です。SaaSビジネスモデルをヒントに、インサイドセールス(取引先候補のメーカーとのアポイント獲得)、ソリューションセールス(アポイント情報に基づき取引先候補を訪問、当社事業を説明し取引開始を目指す)、リレーションセールス(既存顧客からの受注や協力会社への発注を管理、双方との関係強化)など、製造業では例のない分業化を徹底しています。


電話をかけるのみ、会社説明のみ、協力会社への発注のみ、といった営業活業の分業化により、未経験でも早期に戦力となり、業務が属人化することもありません。この「ものづくり支援」事業に関しては、2件のビジネスモデル特許を申請中です。


ノヅックは、私の家業、大阪圧搾コルクの営業部門を2022年に分社化して設立しました。大阪圧搾コルクはマシニングセンター20台(自動工具交換機能を持ち、切削や研削などの機械加工ができる工作機械)と熟練した技術者を有する機械部品加工専門の町工場です。ものづくりの現場や業界に精通した我々の強みを駆使しつつ、業務の分業化と全国をつなぐネットワークで、価格も品質も満足いただけるサービスを実現できています。


西山:SaaSのビジネスモデルを製造業に応用されたとは素晴らしいです。他にはどんな特徴があるのですか?



■「最適見積、絶対検査、納期遵守」を掲げ、顧客も協力会社も満足するサービスを提供


堅田:当社は「最適見積、絶対検査、納期遵守」の3つを掲げていますが、特に完成品を自社検査する「絶対検査体制」は、他の商社ではほとんど行われていません。業界慣習としては、商社の取り扱う部品でも加工工場からメーカに直納されているのです。私たちのサービスでは、完成品は全て当社に一旦納品し、熟練の検査技師が抜き取り検査をした後に出荷し高品質を担保しています。


協力会社が6200社もあるため、品質のバラツキをなくすことは必要不可欠ですし、ものづくりの経験が豊富な当社だから実現できる付加価値です。ほかにも、様々な業界慣習を見直し、仕組み化することで、顧客にも協力会社にも満足いただけるサービスを提供しています。


西山:ものづくりの現場でのご経験があるからこそ、解決すべき課題が明確なんですね。御社オフィスは若い社員の方も多く、明るく元気な雰囲気ですね。


堅田:そうですね、元気で面白い人材がどんどん集まってくれています。大阪圧搾コルクの営業部門として求人を出していた時期もありましたが、製造業の営業部門の頃は採用が本当に大変で、求人募集しても応募が0人だったこともあります。これでは「ものづくり支援」事業の成長は難しいとわかり、分社化を決断しました。ベンチャー企業としてミッションを明確にしたうえで採用活動を始めたところ、なんと100名もの応募がありました。今は、20〜30代の若手社員を中心に売上も組織も急成長しており、主力の「ものづくり支援」事業に加え、製造業専門のM&A事業や、即戦力確保に貢献する製造業専門の人材支援事業なども始めています。


西山:応募0人が100人になるとは、驚きの変化ですね。


異業種から金属加工の現場へ転身、ものづくりの魅力にはまる


生態会 森:この事業を始めたきっかけはなんですか?


堅田:大阪圧搾コルクは祖父が創業し、現在は私が代表取締役を務めていますが、初めから事業継承が決まっていた訳ではありません。私がものづくり業界に入ったのは、30代に入ってからです。新卒で会計事務所に入社した後、コンサルティング会社役員と大阪市議公設秘書を兼任、その縁もあって、国会議員に立候補しました。26歳と29歳と2回出馬し懸命に選挙戦を戦いましたが、残念ながら当選できませんでした。


2度の落選の後、政治の世界から離れ、大阪圧搾コルクの工場で仕事を始めました。マシニングセンターを操作しての金属加工は1/100mmの精度が要求される厳しい世界で、最初は不良品ばかり作ってしまい「自分には向いてへん!」とイヤになったりもしました。でも、継続するうちに”良いものを正確に製造する”というものづくりの魅力にどっぷりハマってしまいました。


鉄工所の現場で数年過ごした後、事業全体を見ようと外回りの営業や、受発注管理などに関わるようになりました。そこで、旧態依然の業界慣習を知り、本当に驚いたんです。例えば、「できた時が納期や」と現場の段取りを優先して納期を守らなかったり、新規見積り依頼のFAXが来ても対応しなかったり、といったことです。大型の金属部品というのは競合会社が少ないので、競争が少ない”殿様商売”といった雰囲気が残っているんですね。


このような状況はよくない!と営業部門の改革を始めました。その取組みをさらに推進しようと、営業を極める会社として分社化・独立したのがノヅックなんです。


西山:多彩なご経歴に驚きました。今後の展開はどのように考えていますか?


堅田:創業1〜2年目の現在は、何を目指すか、どんな会社かというブランドづくり・チームづくりを大事に進めています。ノヅックらしさを大切にしつつ成長を続け、2027年までに年商100億円、メンバー200名を通過点として目指しています。すでに想定以上の手応えがありますね。


この事業で重要なのは、早期に規模感のあるネットワークを構築することです。QCD(品質・コスト・納期)全てに競争力を持つ“ものづくりネットワーク”が実現すれば、世界中からの受注を獲得できるはずです。日本のものづくり業界を強くすることで、この国のために貢献したいと思っています。


西山:業界変革への熱い思い、応援しています。本日はありがとうございました


笑いの絶えない、和やかな雰囲気の取材でした。ありがとうございました!

 

取材を終えて

国会議員に出馬した際の「人を褒めないことで有名な大物政治家から、『堅田の選挙演説は手本になるから、みんな聞くように!』と褒められたことがある」というエピソードが大いに納得できるような、説得力と熱意に溢れたお話をお聞きできました。自社の営業部門の改善だけでなく、製造業全体、ひいては日本を元気にしようという力強いビジョンが素晴らしいと感じました。(ライター 森令子)


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