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インバウンド観光客からのデジタルチップで、売上とモチベーション向上!:OHINERI

  • 執筆者の写真: 森令子
    森令子
  • 11 分前
  • 読了時間: 6分

関西スタートアップレポートで紹介している注目の起業家たち。今回は、株式会社OHINERIの代表取締役CEO 酒井佑眞氏に話を伺いました。同社はインバウンド観光向けにデジタルチップサービスを提供する京都発スタートアップです。

取材・レポート:垣端たくみ(生態会事務局)・新藤 大貴(生態会スタッフ)、森令子(ライター)

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酒井 佑眞(さかい ゆうま)氏 略歴

1994年京都府生まれ、近畿大学法学部卒。幼少期から大学1年までプロ選手を目指してサッカーに打ち込み、大阪桐蔭高校ではインターハイ全国3位などの実績を持つ。大学在学中にオーストラリア・カナダでワーキングホリデーで2年間滞在、地元京都への貢献、そのために観光産業への挑戦を志す。卒業後、東京で就職し、ベンチャー企業の営業やブランディング会社でのコンサルタントのキャリアを積んだ後、2024年に京都に戻り、株式会社OHINERIを創業。


「ありがとう」を届ける仕組みで観光業を支える新サービス


生態会 垣端(以下、垣端):本日はありがとうございます。事業概要を教えてください。


株式会社OHINERI 代表取締役CEO 酒井 佑眞氏(以下、酒井氏):私たちは、ありがとうの気持ちをダイレクトに届けられるデジタルチップサービス「OHINERI」を提供しています。「日本の観光力を向上させる」をミッションに、観光を支える皆様の「働き」を応援したいという思いで事業を立ち上げました。


インバウンド観光客向けサービス業などで展開しており、お客様は、スタッフから受けたサービスに対して、QRコードを読み取るだけでチップを送ることができます。会員登録やアプリのインストールなどは不要、3ステップで完結するWEBサービスです。


事業者の導入ハードルも非常に低くしています。初期費用3万円で導入でき、成果報酬型(手数料25%)、月額無料と低コストです。導入初月で37,500円のチップが送られた事例もあるなど、成果があがっています。スタッフを指定してチップを送るので、スタッフのモチベーション向上やお客様との関係強化という面でも評価いただいています。


飲食店や観光ガイドサービスなどで導入が進んでおり、アクティビティ体験型サービスとの親和性が特に高いですね。


「OHINERI」という名前は、舞台やショーで観客が楽しんだ謝礼として投げ入れる「おひねり」から取りました。日本は世界でも有数の観光立国です。日本の観光を支える働く方々への感謝や感動、応援をカタチに変え、お客様にとっても、働く方々にとっても”すべての瞬間が宝物になる”体験を提供していきたいと考えています。

OHINERIのチップ送信画面
OHINERIは3ステップで、簡単にチップを送れる
OHINERIのダッシュボード画面
ダッシュボード画面もシンプル

7割以上のインバウンド客が「チップを払ってもいい」と思っている!


生態会 森(以下、森):「おひねり」を身近にするサービス、おもしろいですね。アクティビティ体験型サービスとは、具体的にはどのようなものですか?


酒井氏:例えば、寿司店での寿司づくり体験や、茶席や書道など文化体験、ツアーガイドなど、特別な体験と時間をかけた接客が組み合わさったサービスで導入効果が大きいです。お客様がその体験で深く感動し、提供してくれたスタッフや講師へ感謝の気持ちを表したい!と、「OHINERI」を利用してくれます。旅行業界では、文化体験や自然体験、アクティビティが組み合わさった旅行スタイルを「アドベンチャー・ツーリズム」と呼んでいますが、まさに、そのような感動や学びが深い体験型サービスでは、「チップで感謝を伝えたい!」という気持ちが高まります。


日本にはチップ文化がなく、「渡し方がわからない」、「サービス代に含まれているはず」など、チップに対して高い心理的ハードルがありますが、私がワーキングホリデーに行ったカナダなどチップ文化のある国のお客様は、もっと気軽にチップを渡します。実際に、京都市内でインバウンドのお客様50組にアンケート調査したところ、約73%の方が「良いサービスならチップを払ってもいい」と回答しており、感謝を伝える手段を求めていることが分かっています。

酒井さんインタビュー風景

森:導入が進んでいる業界やターゲットについて教えてください。


酒井氏:京都のような観光地で働く方々を応援し、日本の観光力を向上させたいという思いで起業したので、メインターゲットは観光業界です。現在は、地元・京都を中心にアドベンチャー・ツーリズム事業者をはじめ、インバウンド客の利用が多い飲食店などで導入いただいています。京都以外でも、札幌などの観光協会と連携しています。また、ありがたいことにスポーツ業界やイベント業界からも、選手や登壇者への感謝を届ける仕組みとして注目いただき、Tリーグ所属のプロ卓球チーム「琉球アスティーダ」が2025年に2月から導入しているほか、札幌のコンベンションイベント「NoMaps」でも導入されています。


サッカーで培った価値観を大切に、ビジネスを創り出す


生態会 藤 大貴起業された理由を教えてください。


酒井氏:子どもの頃から大学生まで、サッカーでプロの世界を目指していました。その頃の仲間達は何人もプロ選手として活躍しています。私自身はプロ選手になる夢は叶いませんでしたが、「自分しかできないことで価値を出したい」という強い気持ちは常に持っており、すでに出来上がっている市場ではなく、自分のつくったビジネスモデルでプレイヤーがいない市場に挑戦しようと、起業の道を選びました。


ビジネスアイデアについては、大学3年生で休学しワーキングホリデーで海外に出た経験が影響しています。地元・京都の観光業をもっと盛り上げたいと思うなかで、「素晴らしい”おもてなし”を提供している日本にこそ、感謝の気持ちを直接届けられるチップの仕組みがあってもいいのでは?」と感じたことが出発点です。サービス形態など試行錯誤を重ねた結果、現在の「OHINERI」にたどり着きました。


OHINERIで広がる可能性と次の事業計画


森:資金調達の状況、そして今後の事業展開について教えてください。


酒井Skyland Venturesさんからプレシードで1000万円を調達しています。Skyland Venturesさんには、事業についての様々なアドバイスなど継続的にご支援いただいています。


今後は、スタートアップならではのスピード感を武器に、「OHINERI」を日本の観光業界で当たり前に使われるサービスに育てていきたいです。そのために、新たなチャレンジとして、「感謝・感動・応援」をカタチにするという、私たちの目指す世界観に合致した体験コンテンツを自社提供する体制を整えていきたいと考えています。体験コンテンツも手がけることで、「OHINERI」の利用状況、発生要因などへの理解を深め、サービス拡大を加速させていきたいですね。


「感謝」「感動」「応援」をカタチにし、働く人の収入を上げる、そんな世界を実現できるよう、事業を成長させていきたいと思います。

酒井さんと生態会の取材風景
取材後の記念撮影
酒井さん、ありがとうございました!(写真前列:新藤、写真後列左 垣端、写真後列右 森)

取材を終えて 

プロサッカー選手を目指していた情熱を、ビジネスでの挑戦に注ぎ「自分のつくったビジネスモデルで評価されたい」と語る酒井さんの話が印象的でした。ワーホリをきっかけに京都への思いを強くし、創業から1年足らずでサービスを磨き上げ、すでにベンチャーキャピタルからの調達実績もあるなど、素晴らしいスピード感と、事業に共感し協業する方々の輪、応援する輪が広がっていることを感じました。(スタッフ 森 令子)

関西スタートアップレポート説明

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