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世界のルールトレンドで社会課題解決へ:オシンテック

関西スタートアップレポートで紹介している注目の起業家。今回は気候変動や、ビジネス人権といった、社会課題に特化したウェブサービス「RuleWatcher」を提供している、株式会社オシンテックの代表取締役 小田 真人(おだ まさと)さんにお話を伺いました。


取材:西山 裕子(生態会事務局長)、大野 陽菜(学生スタッフ)


レポート:大野 陽菜

 

代表取締役 小田 真人


1979年生まれ、兵庫県出身。慶大卒。MBA取得後、電通グループのシンガポールAIセンター長等歴任。その際、ルールで負ける日本企業の課題に直面し自分の人生の使命感を掻き立てられる。そのミッションを持って帰国し、2018年オシンテック創業。2019年より神戸情報大学院大学客員教授を兼務。省庁や大学院等にインテリジェンスの講演・講義も行い、啓蒙活動にも注力。2020年UNOPS GICに入居、経産省・JETROのプログラムで最終選抜、日本弁理士会長賞、ひょうごクリエイティブビジネスグランプリ最優秀賞等受賞等。




 

■世界のルールを可視化する


生態会 大野(以下、大野):本日は、お時間いただきありがとうございます。オシンテック様のホームページや記事を拝見し、「どういうこと!?」とすごく興味が湧いていましまずは事業内容を教えてください。

取材の様子(左:小田氏、右:大野)※撮影:西山

オシンテック 代表取締役 小田氏(以下、小田):気候変動や、ビジネス人権といった、社会課題に特化したウェブサービス「RuleWatcher」を提供しています。各国政府・議会、国連関係機関、⼤⼿NGO等の⼀次情報を収集しさまざまな言語を全て英語に翻訳し、それをAIを用いて整理・可視化します。さらに、これらの情報の一部は、「社会課題を解決したい市民」には無料で提供しています。膨大な収集データを探索できるツールと、より幅広いテーマのストリーム情報はPro版として月額1万円程度で、研究者、企業の戦略立案担当などが利用し、このほか、カスタマイズされたテーマを専用環境で使用できるEnterprise版も提供しています。


大野:「RuleWatcher」がどういったサービスなのか、詳しく教えていただけますか。


小田:現在世界ではルール作り合戦が起きています。国際的なルール作りについて日本はフォローするだけで、世界から負け続けています。ハードロー(条約、法律など)、ソフトロー(ESG、SDGsなど)が国際的に影響力を持つ時代になりましたが、日本では外国語の情報をウォッチする人が極めて少ないのが課題です。その問題意識に気づき、ルールに着目して起業をしました。そこで、作ったのが、RuleWatcher。現在ルール作りの主戦場である、環境や人権に関する一次情報が世界中から届くような仕組みです。例えば何が環境に良くて、何が悪いのかの線引きを行うルールの情報が届く。世界的なルール作りに関心をもちたい経営者をフォローする仕組みです。

「Rule Watcher」サービスページ①

大野:なぜ、世界のルールが経営者にとって必要なのですか?


小田:情報収集だけでなく、ルールのトレンドをおさえることで社会課題解決のスピードを早めます。また、企業の数千億規模の投資の判断基準にもなります。


電池は長持ちするほどよい、というのが今の常識でしょうが、実はその常識は変わりつつあります。今後は電極材などをリサイクルできるものがよい電池だ、という基準ができつつあるのです。いま、世界中で自動車の電動化が始まっていますが、そのために電池の素材である鉱物が不足し始めてきています。資源採掘に関わる汚染や人権侵害も深刻なのです。


昨今の環境や人権に関するルールトレンドは欧州から変わっていくので、日本のメディアで報道されている内容と、国際社会で言われている話には数年間のラグがあります。SDGsを主要課題におく企業がその⼀次情報を早く取り⼊れることでタイムマシン経営が実現でき、結果的に課題解決のスピードを早めることに繋がります。


■一次情報に特化


大野:自分も海洋プラスチック問題を解決したいという想いがあり、ネットでいろいろと調べるのですが、記事や情報が膨大で、どれを信用しどこから手を付けたら良いのか分からず途方に暮れた経験をしたことがあります。このように信頼できる一次情報が手に入るサービスがあれば調べる時間をカットできるわけですね。


小田:その通りです。


我々の情報源にはフェイクニュース対策としてSNSなどのソーシャルメディアは含まれません。国連や大手NGOなどから直接一次情報をとってきています。気候変動緩和、プラスチック汚染などの公益性が高いものに関しては、市民向けに無料で提供し、サーキュラーエコノミーや気候変動適応などの、特に企業ニーズの高いテーマに関しては月8,000円(税別)から提供しています。

「Rule Watcher」サービスページ②

チームには、国際動向に関心の高い人が多く集まっています。出資もソーシャルセクターのみに限っています。情報の中立性を担保するために、資本にもこだわりを持ちたいと思っています。



■今後の展望


大野:最後に、オシンテックの今後の展望を教えてください。


小田:21世紀の問題は国境を越えてくる時代になりました。ルールは人類の偉大な発明だと思っています。ルールの力を使って、これに立ち向かいたい。ビジネスにルールづくりの力を取り入れていくことで、課題解決のスピードを速めていきたいと考えています。


ただ、我々のプラットフォームは読み解くのにも力がいります。読み解ける人をたくさん育てていかないと国の未来がないかなとも考えます。日本にいると、日本だけの動向に目が行きがちですが、これから日本に来るであろうルールのそれよりも前に規制が敷かれている国の動向を見ておこうというインテリジェンスの部分で我々は情報収集を行なっています。そういうことができる人たちを育てていくこと。ルールウォッチのエコシステムをつくっていくことを今後も行なっていきます。


我々のサービスはもちろん日本⼈だけでなく、世界中の研究者、シンクタンク、学⽣も利⽤でき、「世界のルールをみんなの手で」という次世代のルールの民主化のビジョンを、社名のオシント(Open Source Intelligence)×テック(Technology)によって目指しています。


左:小田氏、右:西山(撮影:大野)

 

取材を終えて


私自身、海洋プラスチックゴミ問題を解決したい思いがありましたが、検索しても何が正しいのかわからず解決策を模索し続けた経験があります。なのでこのように自分の気になる分野の一次情報を早く得ることができたら、今後の解決策に役に立つと思います。また、ティール組織を目指されていて、取材後に、もっとメンバーがフラットな関係で、自分自身の興味関心や可能性を大切にしてほしいとのお話を伺いました。ミッションの達成に誠実で、 これまでの会社の固定概念にとらわれない姿勢と課題解決への熱量が伝わってきました。(大野)

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