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お店に手のひらサイズの店員を導入:PLEN Robotics

関西スタートアップレポートで紹介している、注目の起業家たち。今回は、手のひらサイズのAIアシスタント「PLEN Cube」を開発、販売している、PLEN Robotics(プレン ロボティクス)株式会社の代表取締役 CEO赤澤 夏郎(あかざわ なつお)氏に取材しました。


取材:垣端 たくみ(事務局)・近藤 協汰(学生ボランティア)

レポート:近藤 協汰

赤澤 夏郎氏

赤澤 夏郎 代表取締役CEO略歴:1971年6月28日生まれ。追手門学院大学卒業。20代はスキーの指導員やプロ選手として活躍する。30代に父親の会社に戻り、2004年ロボットベンチャー「プレンプロジェクト」を社内ベンチャーとして設立。2006年には当時世界最小の量産化二足歩行ロボット「PLEN」を、2015年には「PLEN2」を開発する。2017年に同社を創業。PLEN Robotics株式会社では、コンセプトメイキングからロジスティックに至る開発・生産業務を主導。

生態会 垣端(以下、垣端):本日は取材を受けてくださり、ありがとうございます。ではまず初めに、PLEN Robotics株式会社の事業概要をお教えください。


取材の様子(左:赤澤氏、右:生態会・垣端)

PLEN Robotics株式会社 赤澤(以下、赤澤):私たちは手のひらサイズのAIアシスタント「PLEN Cube」を開発・販売しています。PLEN Cubeは生体認証によるデータ化や、情報・サービスの個別フィードバックによって、サービス業における、対人接客業務の非接触や自動化を実現しています。

また「PLEN Cube」は開発者向けにも提供していて、カスタマイズできるソフトウェア・デベロップメント・キット(SDK)を活用することで、専⽤機能を持った独自のPLEN Cube を作ることができます。

「PLEN Cube」の外観

PLEN Cubeの強みは、価格が安く、導入ハードルが低いことです。コンパクトなハードウェアに機能を詰め込んでいるので低コストで提供できます。また、小さなハードウェアのみでサービスを提供できるため、煩雑かつコストのかかる導入作業が必要ありません。

このPLEN Cubeは基本的にどの分野でも導入可能ですが、あらゆる業界にアプローチをかけてしまうと、受託としての側面が強くなってしまうので、現在はある程度業界を絞って展開しています。

垣端:ユーザーさんにとって、導入ハードルが低いことはありがたいですね。現在はどの領域に展開していますか?

赤澤:飲食店や教育機関、宿泊施設、医療機関・介護士施設などです。

もともと飲食店やシェアオフィス、宿泊施設などを中心に展開していたのですが、コロナの影響で事情が変わりまして。そこで環境の変化に対応し、体温測定など健康状況のチェック機能を開発・搭載すると、特に医療・介護系からのお問い合わせが増加しました。

その結果、現在は医療機関で使われているレセコン(レセプトコンピュータ)と連携した受付サービスを展開しています。

医療機関での事務作業で、最も比重が大きく手間のかかる仕事は、患者さんの受付入力です。PLEN Cubeでは、これまで主導で行なっていた入力作業を、PLEN Cube内で自動遂行しています。また入力は顔認識なので、顔を写すだけで認識・入力することができます。これによって、主導による作業が削減できるので、医療機関のコストを下げられます。

垣端:こちらの導入ハードルも低いのでしょうか?

赤澤:私たちがターゲットとしているのは、町のクリニックです。小規模なクリニックは、事務員の仕事量が過度に多い環境になっています。このような環境から、製品ニーズが大きく、比較的導入のハードルも低いんです。これを置けば、受付の作業を削減できるため、事務員は他の内容に集中でき、クリニックの運営状態も改善します。実際に、クリニックの方からは、事務員の負担やコストを削減できたという声をいただいています。


取材時の赤澤氏

垣端:PLEN Cubeについてですが、現在は量産段階にあるのでしょうか?


赤澤:はい。パンデミックによって製造は少し遅れましたが、現在開発段階から量産段階に移行している最中です。

1000台を目標に量産しており、すでに200台以上顧客に提供できています。今後も、セールスを強化しながら販売台数を増やしていく予定です。


垣端:PLEN Roboticsでは様々な国籍の方が働いていると伺いましたが、どのような経緯で外国人従業員が増えたのでしょうか?

赤澤:主な経路は口コミですね。単位取得のためのインターン制度があり、海外(ここでは日本)にやって来る学生がいます。そこで初期に受け入れた外国の学生が口コミで「日本にこんな企業があるよ」と他の学生に伝えてくれまして。その学生経由でCV(履歴書)が送られて来たりします。そんなこともあって、実はエンジニアは外国人の方が多いんです。ちなみに現在もエンジニアのインターン生を募集していて、特にハードウェアの開発経験がある方はぜひ来て欲しいですね。


PLEN Robotics株式会社オフィスの様子

垣端:口コミでインターン生が増えていることはすばらしいですね。採用活動も順調そうですが、現在に至るまでに様々な出来事があったかと思います。赤澤さんの経歴や、創業の経緯についてお伺いできますか?

赤澤:僕はもともと物作りに興味があったんですが、父親の経営している町工場での、仕事の辛い側面だけを見ていて、「会社を継ぐのは厳しい」と思っていました。そこで会社を継ぐことを断り、20代ではスキーの指導員やプロ選手として活動しました。しかし、30代になって父親の会社に帰って来ると、物作りに対するイメージがガラッと変わっていたんです。これまでは鉄工所のイメージだったのが、全然違うものになっていた。そして社内ベンチャーを始めることを父からアドバイスされ、それは魅力的だと思い、事業を開始しました。それが2004年時点の創業の経緯です。

創業後は、自社が制作した最初のロボットが当時のYouTubeでバズるなど、注目していただきました。ここで、「革新的なモノを作って、デモムービーで注目を集める」というモノづくりの流れを理解し、同時に「アイデアを形にする」ことをこれからも続けていきたいと感じました

その後も事業を継続し、教育や研究など、業界に特化してロボットを開発していたんですが、ふつふつと「誰でも知っている」製品を作りたいという気持ちが強くなっていきました。どれだけ製品を一生懸命作っても、一般に知られることは難しいんです。業界では有名な製品でも、ほとんど一般に知られていない、というのはよくある話で。なので、私たちは一般向けの製品を開発・販売することを決め、2017年にPLEN Roboticsを創業しました。


ここでも、理解したものづくりの流れを生かし、注目を集めることができました。まず、PLEN Cubeを開発・製造するにあたり、クラウドファンディングを試みたのです。

するとKickstarterでは、目標金額$50,000に対し$81,243という、160%超の金額を達成できました。また、Makuakeでも、目標金額200万円に対し約325万円と、こちらも160%以上の調達を達成しました。多くの期待が寄せられていることを感じています。


クラウドファンディングはコンシューマー向けの想定だったのですが、企業向けのニーズも大きかったため、PLEN Cubeの第一ステップとしてビジネス向けの製品を今は提供しています。

そして、将来的にはビジネスだけでなくコンシューマー向けにも展開し、同社のコンセプトでもある「そういえば見たことがあるな」というような製品を作り続けたいと思っています。

(取材を終えて)PLEN Robotics株式会社の取材では、コロナ禍への対応や、開発段階から量産段階への移行に伴う、様々な取り組みをお聞きしました。実際のビジネス、特に様々な変化への取り組みについて知れる場は多くなく、とても刺激的なお話でした。また、赤澤さんの創業経緯や心中についても聞くことができました。あの可愛らしいフォルムのPLEN Cubeを実店舗でも見られるようになる日が待ち遠しいです! (生態会:近藤)



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