利用者レビューを基に家庭教師を1回から選べる!継続9割のマッチングアプリ
- 建太 小松
- 8月4日
- 読了時間: 6分
関西スタートアップレポートでご紹介している注目の起業家たち。今回は株式会社Teachの代表取締役CEOを務める中庭英雄さんに話を伺いました。
同社は、保護者・生徒がスマートフォンひとつで家庭教師の授業を予約できる、オンライン特化型のマッチングアプリ「Teach」を開発・運営するEdTechスタートアップです。
取材・レポート:西山裕子(生態会事務局)、小松建太(ライター)

■ 中庭英雄(なかにわ ひでお)氏 略歴
1992年、奈良県生まれ。中学受験を経験するも親子関係が悪化し、一度は高校を中退。通信制高校で学び直したことが、教育との最初の接点になった。2012年に通信制高校に勤務し、教育とキャリア支援の世界に入る。2013年に労務コンサルタントとして独立し、2015年4月には厚生労働省委託の南河内サポートステーション(就労支援事業)を統括。同年9月に株式会社キャリアアシストシステムズを創業。複数の事業を立ち上げてきた連続起業家であり、2023年1月に株式会社Teachを創業し新事業へ挑戦している。
「夢の一言」から生まれた家庭教師アプリ
生態会 西山(以下 西山):本日はよろしくお願いします。Teachは、どんなサービスなのでしょうか。始められたきっかけは何だったのでしょうか。
代表取締役CEO 中庭英雄氏(以下、中庭氏):保護者やお子さんがスマホひとつで家庭教師を予約できるアプリです。飲食店や美容室などの予約サイトのように、先生が登録しているスケジュールから希望の時間を選び、授業はすべてオンラインで行われます。
西山:すごく手軽でユニークなサービスですよね。何か着想のきっかけはあったんですか。

中庭氏:実は夢に出てきた大学生が「こんな事業、面白いと思うんです」と話していて、朝起きてすぐにメモをしてそのまま形にしたものなんです。
ライター小松(以下 小松):夢から!それは驚きました。
中庭氏:きっかけは夢でしたが、根っこにあるのは自分の体験です。私自身、中学受験で親との関係が悪くなって、家庭がぎくしゃくしてしまいました。その後、高校を辞めて通信高校に入り直しています。家族のための挑戦のはずなのに、誰かが犠牲になる。その構造を変えたいという思いがずっとありました。そうした思いから生まれたサービスです。

面接なしで先生の質を担保する「レビュー機能」
小松:類似サービスとの一番の違いはどこにありますか。
中庭氏:先生を事前のテストや面接で選ぶのではなく、利用者のレビューで質を担保している点です。登録時の審査は学生証と本人確認だけ。そのライトさが逆に効いて、優秀な先生が自然に集まりました。今では累計3,500名以上が登録していて、しかも先生側の集客にはお金を一切かけていません。
小松:マーケティング費ゼロなのは驚きですね。どうやって集まったのですか。
中庭氏:App Storeで「家庭教師」と検索すると1位に出るので、先生が自分で見つけて入ってくるんです。理系の学生や、忙しくて塾講師のシフト調整ができない学生にとって、空き時間に手軽に教えられる点が支持されました。一番多いのは東京大学の学生です。

西山:私も子育てをしてきましたが、レビューで選べるのは保護者として安心できますね。
中庭氏:授業ごとに付くレビューが先生の評価に直結するので、みんな1回1回の授業に手を抜かないんです。料金は1回ごとの授業料だけで、入会金も教材費もいただきません。最短3時間後には授業を受けられますし、わからない問題を投稿すると、待機中の先生と最短5分でつながるリアルタイムマッチング機能も近日中にリリースする予定です。累計授業数は1万件を突破し、継続率は9割を超えています。

1年半決まらなかった資金調達と、コミュニティで広がったご縁
西山:ところで、ここまでの資金調達は、どのように進めてこられたのですか。
中庭氏:正直に言うと、1年半は決まりませんでした。教育系は評価が付きにくいと言われることも多くて。3ヶ月営業しては作戦を練り直す、その繰り返しでした。
西山:1年半も……。それは大変でしたね。
中庭氏:でも、ご縁に助けられました。ある銀行のイベント後の会食で、たまたま隣に座った投資家の方と資金調達の苦労話をしていたら、「後日あらためて話しましょう」となって。その場ではプロダクトの説明もほとんどしていないのに、「出します」と言ってくださったんです。数字や資料以上に、人と人として向き合えたことが大きかったと思います。
西山:ご縁がそのまま出資に繋がったんですね。素敵ですね。
中庭氏:はい。今はTeam make Capitalさん、ライトアップベンチャーズさんなど、4社に株主として入っていただいています。Booming!などのコミュニティで広がったつながりも含めて、人に恵まれた調達だったと感じています。
西山:開発体制は、どうされているのですか。
中庭氏:開発は信頼できるフリーランスの方に、業務委託しています。経営は私1人で行っていて、カスタマーサクセスにはインターンも加わっています。AIの進化もあるので、人を大きく増やすよりは、少人数で深くやっていく方針です。
塾のない「塾過疎地域」に、学びを届ける
西山:このプロダクトを通じて、次はどんな課題に挑戦したいと思っていますか。
中庭氏:見据えているのは「塾過疎地域」です。地元の奈良でも、塾がなくて送り迎えも難しい地域があります。選択肢がないと、たまたま入った塾が合わなくても他に選べない。そもそも通えないご家庭もある。オンラインなら、そこに質の高い先生を届けられます。
小松:行政との連携も始まっていると伺いました。

中庭氏:はい。大阪などでは塾代のクーポンやチケットが配られていますが、塾そのものがない地域では、その制度すら成り立たないんです。公営塾を作っても予算オーバーになる。でもオンラインという仕組みなら届けられるのではないかと、今ちょうど行政の方とやり取りを始めているところです。
西山:採用や今後の計画についてはいかがですか。
中庭氏:現在インターンを募集中で、今後はCTOを迎えたいと考えています。まずは黒字化とPMF(プロダクトマーケットフィット)を固めて、次のシリーズA調達に進む予定です。私自身、中学受験で家庭がぎくしゃくした経験があるからこそ、家族の挑戦のために誰かが犠牲になる社会を変えたい。Teachを通じて、相性の合う先生と出会える喜びを、より多くの子どもたちに届けていきたいです。

生態会のコメント
夢に出てきた大学生のひと言からこのアプリが生まれた、という中庭CEOの話には、肩の力の抜けたユニークさがありました。その一方で、事業の根幹にあるのは、中学受験で親子関係が揺らいだご自身の体験です。通信制高校での学び直し、就労支援のキャリアという経歴のすべてが、「学びと家庭を不幸にしない」一点に結びついています。
また、事前審査がなくとも、レビューで先生の信頼を可視化することで授業の質が保たれ、「1万件を超える授業を行っても9割超の継続率」という数字につながっていることに、このモデルの強さを感じました。さらに7月には、質問をすると、即座に動画で解説を行うプロダクト「TeachAI」をリリース。既存の形だけにこだわらない柔軟な発想力で、今後ますます広がりに期待しています。(ライター 小松建太)




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