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お客様からの感謝や賞賛を可視化しエンゲージメント向上を実現

関西スタートアップレポートで紹介している注目の起業家たち。今回はサービス業向けのHR Techサービス「OTENTO」を展開する株式会社OTENTOの代表取締役 鳥居本 敦士さんにお話を伺いました。


インバウンドの再開で注目の集まるサービス業の人手不足とサービス向上を実現するサービスとはどのようなものなのか、そして今後の理想とする社会のあり方について伺いました。



取材・レポート:垣端たくみ(生態会事務局)

山本 脩太郎 (ライター)


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鳥居本 敦士(とりいもと あつし)さん 略歴:高校卒業後、乳業メーカーに入社。その後、人材派遣会社に入社し派遣スタッフの労務管理などを務める。人材派遣業界で働く中で派遣スタッフへの評価が適切になされてないと感じ、2018年に退職し人材サービス業を営む株式会社CHABASHIRAを創業。2021年株式会社OTENTOを創業。

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「善い行い」に感謝とエールを贈りたい


生態会ライター 山本(以下、山本):本日はお時間をいただきありがとうございます!早速ですが、現在の事業内容について教えていただけますか?


OTENTO 鳥居本氏(以下、鳥居本):当社ではサービス業を中心に、お客さまから店舗のスタッフに評価やコメント、「スマートチップ」と呼ばれるチップを贈れる「OTENTO」というサービスを提供しています。特に現在は飲食店を中心に導入が進んでいます。



「OTENTO」では店舗のお客さまがスマートフォンで店頭のポップに記載されたQRコードを読み込むことで、従業員に向けての評価や感謝、スマートチップを送ることができます。お客さまの評価が直接スタッフに届くため、スタッフのエンゲージメント向上や定着率の向上を図れるのが特徴です。スマートチップを送金することもできるため、スタッフの所得向上も目指せますし、結果としてより従業員はさらにホスピタリティの高いサービスを提供することに繋がります。


また、「OTENTO」ではシステムを通して集められたお客様の評価は、データとしてAIのテキストマイニング処理をして分析することができます。そのデータでは、店舗やスタッフのどのような点が評価されているのかが可視化されるため、そのデータを基にさらなるサービス改善に繋げられます。


山本:お客さまの声をもとに改善、そしてそれがさらに評価につながるという好循環を実現できますね!このサービスの提供に至ったきっかけなどはありますか?


鳥居本:前職で人材派遣会社に勤めていたのですが、お客さまと直接コミュニケーションを取ったり、最前線の現場で働く派遣スタッフの方の評価が適切になされていないのでは、という場面を目にしたのが現在のサービスが生まれたきっかけです。


さらに言えばサービス業だけではなく、電車でお年寄りの方に席を譲ったり、街中のゴミを捨てたり、といった小さな善い行いをもっと評価できる社会になれば、日本の国力はもっと上がっていくのではないか、と考えています。「OTENTO」というサービス名には「いつもお天道様が見ているよ」というメッセージを込めています。


飲食店だけでなくあらゆる業界に展開



山本:「OTENTO」はどのような業種や業界で利用されているのですか?


鳥居本:今はサービス業が中心となっていて、特に飲食店などが多いですね。どの企業さま、店舗さまも人手不足が課題となっているので、スタッフのエンゲージメントを上げて従業員の定着率を向上させる、さらにはサービス向上によりリピーターを増やす、という部分にメリットを感じていただける企業や店舗さまにご利用頂いています。


また、直近では病院への提案も進めています。病院内の看護師さんは、患者さんと最も接する機会の多い立場でありながらも、患者さんやそのご家族の意識はついつい医師へ向いてしまうため、適切な評価を得られていると感じることのできる機会が少ないのだそうです。こうした現場でもOTENTOをご利用いただければ、自分の仕事のやりがいにも繋がりますよね。


その他にも営業職の方のお客さまからの評価を集めれば、トップ営業マンのどのような行動がお客さまから評価されているのかが分かるので、会社全体の営業力の底上げにつながります。


スマートチップによる所得向上


山本:「OTENTO」ではスマートチップを送金できるとのことですが、日本ではあまりチップの文化に馴染みがないように思います。


鳥居本:一見するとそう思われることも多いのですが、100円、200円程度の金額ですから、皆さん気軽に使っていただいていますね。昨今、原材料費の値上げなどにより、サービス業ではなかなか時給を上げられないことが課題になっています。そういったときにスマートチップにより自分でインセンティブを稼ぐことができれば、アルバイトとして働くスタッフもモチベーションが上がりますし、時給を理由に退職することも減らせるはずです。


チップというとあまり馴染みはないですが、YouTubeのスーパーチャットなど「推しに対して投げ銭をする」文化は根付いてきていますよね。大人から若い世代への心付けではなく、同世代間でもスマートチップがどんどん動くようになればいいなと思っています。


左:生態会 垣端、右:鳥居本 敦士さん


今後の展望


山本:今後の展望について教えてください。


鳥居本:まずはプロダクトマーケットフィットを目指しています。多くの企業や店舗さまでご利用いただけるようになってきましたが、まだまだマーケットをしっかりと創れたとは思っていません。しっかりとサービスの価値を伝えて、売上をつくっていきたいですね。2023年中には黒字化を目指せるところまで来ていますので、資金面のバランスも見ながらスケールさせるための社内体制の整備や採用、プロモーションに取り組んでいきたいと思っています。


 

取材を終えて:私自身、学生時代に飲食店でアルバイトをしていたこともあり、かつての自分が抱えていた不満・課題を解決できるようなサービスだと感じました。感染症が一段落し、再び飲食業界をはじめとしたサービス業の活性化が見込まれるなか、人材の定着のためにはこうした従業員エンゲージメント向上への取り組みは必須となるのではないでしょうか(ライター:山本)


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