• 近藤きょう

内装工職人と不動産管理企業をITでつなげる: リモデラ

最終更新: 5月13日


関西スタートアップレポートで紹介している、注目の起業家たち。今回は、不動産管理会社向け原状回復クラウドサービス「リモデラ」を提供している、REMODELA株式会社の代表取締役 福本 拓磨(ふくもと たくま)氏に取材しました。


取材・レポート:垣端 拓海(生態会 事務局)・近藤 協汰(生態会学生ボランティア)




福本 拓磨 代表取締役 略歴


1986年生まれ、兵庫県出身。 大学在学中に起業、その後コンサルティング会社へ入社。


2013年に不動産業並びに建設業を営むFURUEL株式会社を設立し、2018年より訪日外国人向けの宿泊施設開発事業を開始。 2020年にREMODELA株式会社を設立。

リモデラの事業概要


生態会 垣端(以下、垣端):本日はお時間を割いていただきありがとうございます!まず初めに、REMODELA株式会社の事業内容を教えていただけますか。


REMODELA株式会社 福本(以下、福本):リモデラの事業は、賃貸の原状回復工事をしたい不動産管理会社と、隙間時間で働きたい内装工職人をつなげるクラウドサービスです。

不動産管理会社にとっては、見積もりなど発注に関わる事務をWeb上で完結できることが特徴です。一方の内装工職人は、アプリ上のマップに表示されている仕事を選択するだけで受注でき、最短で即日に報酬を受け取ることができます。


従来の職人さんのケースでは、「不動産管理会社から電話がかかってきて、現場の作業を止めて対象物件に向かい、現地の寸法を測る」ということが度々あります。そして、帰宅後にエクセルや手書きで見積もりを作って、ファックスで送る。企業から承認を得てようやく受注となるのですが、もちろん失注してしまうことがあるため、とても効率が悪い状況となっています。


「リモデラ」の画像

そんなことをせずとも、プラットフォーマーが見積もりを作って、受注した仕事を職人に選んでもらうようにできれば、職人の生産性が向上しますし、失注というリスクを防ぐことができます。




また、同サービスは不動産業界にもギグワーカー向けサービスがあっていい、と感じ出来たものなので、職人さんの隙間時間に利用していただくことも想定しています。 例えば、突然都合が変わった日や休日は、固定給ではない職業柄、稼ぐことができません。そういった際にも、リモデラを利用して働くことが可能です。

 

*ギグワーカー:インターネットを通し、単発で仕事を請け負う仕事形態のこと。

福本氏との取材風景

企業サイドについては、このサービスは特に大企業に大きなニーズがあります。数万戸の物件を抱えている企業もおり、日本全国でみれば毎月何百件もリフォームしなければいけない状況です。しかも、リフォームを発注する際には、社員が毎回電話をしているのです。

リフォーム業界も労働力減少に困っているため、施工する職人を探すのに時間がかかり、その結果として工期が遅れてしまう。不動産オーナーからすると大きい機会損失と言えます。


例えば、「一ヶ月後にリフォームが完成します」と言われた場合、不動産オーナーには1ヶ月分の家賃ロスが発生してしまいます。他の業者に依頼したくても、取引をしたことがない企業に発注することもできず、とてもストレスの大きい時間となります。

これは、僕自身が不動産業界で企業を経営していて経験してきたことです。この積み重なった課題を経験し、「面倒かつ難しい作業をITを活用して簡単にできるサービスを提供しよう」と思い至りました。


「リモデラ」の概要


「リモデラ」のビジネスモデル

いざサービスを開始すると、皆様にご好評いただき、1年ほどで250社以上に導入されるようになりました。2021年6月から

関東にも進出するので、より急カーブで拡大していきたいですね。







資金調達によりVRへの投資を加速化


垣端:確かに、3月22日の資金調達に関するプレスリリースでも、関東進出は予定されていましたね。資金調達といえば、同プレスリリースではVRが取り上げられていましたが、これはどういった用途なのでしょうか?


福本:VRの中でも特に採寸の効率化に資金を投資します。例えば従来だと、採寸時はメジャーを用いるのですが、これはとても面倒な作業です。それに対し、3Dスキャナーが搭載された測定器を利用すれば、現実空間から瞬時に3Dデータを生成し、そのデータ上で寸法を測ることができます。


リモデラの利用風景

この技術を利用すれば、例えば「この壁の面積は○○㎠だから、職人さんの工賃は○○円で、資材原価は○○円」といったように、面倒な寸法なしに見積もりができます



将来的には、寸法したデータを基に、どんなリフォームを誰に発注するかを、今よりもっと自由に選択できるようなサービスを作りたいと考えています。



例えば「この壁面にアクセントクロスを入れましょう」という言葉だけでなく、VRやARを用いればアプリ上で完成イメージを表現することができます。



深センへの視察から生まれた新しいアイデア


垣端:確かに、それはとても有用ですね。次に、起業に至った経緯を聞いてもよろしいでしょうか?


福本:はい。僕が初めに事業を起こしたのは大学生の頃です。

僕は大阪市立大学の理工学部に在籍中、飲食店を始めました。友人たちは就職をしたのですが、僕はサラリーマンになりたくないという理由で、大学院に進学し飲食店運営を続けました。



REMODELAの職場風景

その後、飲食店を売却して一度コンサルティング企業に入社したのですが、楽しさは感じつつも、常に「自分のやりたいことはここではない」と感じ続けていました。そのため、仕事を辞め、大阪に帰ることにします。そして「何をしよう」と考えた際、飲食店運営で不動産に困った経験があったため、大学時代の後輩(現在のREMODELA社の役員)を誘い、不動産業界でビジネスを始めることを決めました。自身たちには何もノウハウが無かったこともあり、不動産会社で1年特訓し、2013年に会社を立ち上げました


幸運なことに事業は順調に成長したのですが、経営に携わる過程で視座が高まり、「この事業は自分でなくてもいい」と実感しました。そこで、せっかく自身らがコミットするなら、規模・インパクトの大きく、何より楽しいことにチャレンジしないと意味がないと結論づけたのです。


その結果創業した企業がFURUELで、外国人向けの日本文化体験型民泊サービスを開始しました。国内外から毎週何件も取材が来るほど、どんどん事業が拡大していきました。ただし、そこにはいくつかの懸念点もありました。例えば民泊への規制は大阪では比較的緩いですが、他府県では非常に厳しいのです。リスクヘッジのため、民泊サービスと並行してIT事業の構想も立ち上げていました。


質問に答える福本氏

その際に中国の深圳に訪れ、体験したのはまさしく未来です。VRでリノベができるサービスや、同国のマッチングサービスに触れ、「この光景が5、10年後の日本でトレンドになる」と確信するに至ります。その衝撃的な光景から、「不動産管理会社と職人のマッチングサービス」から「XRを用いたリノベプラットフォーム」へと至る段階的な事業アイデア・展開を打ち立てました。


垣端:そんな経緯があり、現在に続いているのですね。とても興味深いです。最後に、事業の展望を教えていただけますか。


福本:2025年にIPOを目指しています。事業の展望としては、誰でもスマホを用いてリノベのシミュレーションを行い、見積もり・発注がすぐにできる、そんなプラットフォームを担っていこうと思っています。


垣端:本日は、貴重な取材のお時間をいただき、ありがとうございました!



取材担当 垣端(左)と福本氏(右)

取材を終えて:取材を通して、福本さんの「真に熱中できる、楽しいことをしたい」という想いを知ることができました。特に飲食店経営・不動産業界での企業・FURUELやREMODELAの設立など、とても心動かされるお話でした。また、REMODELA設立のきっかけとなった深圳視察のお話を聞き、深圳という未来を体験したい、という気持ちが高まった瞬間でもありました。


事業については、REMODELA設立当初から「不動産会社と職人のマッチングサービス」→「XRによるリノベプラットフォーム」という道筋を描いていることが素晴らしく感じました。競合企業が存在しない、大きく継続的なニーズがあるとも仰っており、「リモデラ」は非常に期待のできるサービスなのではないでしょうか。(生態会 近藤)




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