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  • 執筆者の写真Seitaikai

試作・量産化などモノづくりをワンストップで支援:ハッチ・クリエイト・ワークス

関西スタートアップレポートで紹介している注目の起業家。今回は、製造業の新規事業やスタートアップの製品化を支援するハッチ・クリエイト・ワークス代表取締役、佐藤 泰之(さとう やすゆき)さんです。


<佐藤氏略歴> 大阪府出身。大手半導体メーカー「ルネサスエレクトロニクス」での20数年のマイコン企画設計・事業化の経験から、製品化支援の分野の潜在的ニーズは高いと確信し、元同僚や部下とともに2018年起業。

 

生態会 森(以下 森):本日はよろしくお願いします!まずは、サービス概要を教えてください。


ハッチ・クリエイト・ワークス佐藤氏(以下 佐藤):「コンセプトはあるけれど、何をどう実現すればよいか分からない」「コンセプトデモを作ってみたけれど、量産するにはどうすればよいか分からない」といったモノづくりの困り事を解決する、ワンストップソリューションです。アイデアからの仕様や材料決定、試作のお手伝い、試作品や、電子装置、周辺装置などの性能調査や試験・解析、さらに、製品化に向けた量産スキームの構築支援や、実際の初期量産品の生産など、モノづくりの一連の業務をお手伝いしています。回路試作や筐体試作など工程の一部分の支援も可能です。

 私を含め、ルネサスエレクトロニクスなど大手企業で経験を積んだ専門人材が集まったチームと、少量生産から初期量産まで可能な独自のサプライチェーンにより、大量生産に至る前の様々なフェーズの依頼に柔軟に対応できます。他の開発受託のサービスより、かなり深く広く対応できる「製造業のよろずや」と自負しています。


:顧客はどのような企業ですか?


佐藤:関西の製造業の新規事業部とスタートアップが主な顧客です。前職からの付き合いや、顧客からの紹介のほか、スタートアップ支援については、例えば、大阪産創館やTEQSといった起業家支援機関の紹介やマッチングなどで出会った起業家から、様々なご依頼を受けています。




:”ものづくり”系スタートアップには「量産化の壁」があると、よく言われますね。「関西スタートアップレポート」第二号で取材した株式会社海岸線の上田さんも、混雑回避デバイス「ラッシュリサーチ」の開発で、ハッチ・クリエイト・ワークスさんに色々と助けてもらっているとおっしゃってました。


佐藤:そうですね。TEQSのハンズオンセミナーで上田さんとお会いしたのですが、手作りでIoTデバイスの試作をされていた頃でした。それから、試作品の改良や製品化などをご支援しています。


:ご自身がスタートアップでありつつ、スタートアップの支援もしている、ということなんですね。いろんな相談が持ち込まれそうですね!


佐藤:アイデアを手書きのメモでもってくる方もいます(笑)。その場合は、それを製品仕様におとし、試作品を作り、試験をするところまで伴走する感じですね。または、「こんなセンサーがあるんだけど、なにができる?」「2年の製品寿命にあわせた試験を設計・実施するには?」といったご相談もあります。3Dプリンタで”モノづくり”が身近になりましたが、3Dプリンタでつくる複雑な形は金型にできない、つまり、量産化できないことが多いんです。経験がないと、次の段階が見通せず、そういった困り事が起こるんです。


ちなみに、我々のオフィスには切削機があります。この機械は、XYZ軸で削り出すので、金型の原型になるのです。開発受託の会社で、この機械を持っているところはあまりないと思いますよ。


:佐藤さんは、なぜ、このビジネスをはじめられたのですか?


佐藤:前職で扱っていたマイコンは電化製品に欠かせない汎用性の高い部品で、”マイコンを売る”ことは、非常に多様な製品の企画や設計、事業化に関わることでもありました。そのなかで、「やり方がわからない」「経験がない」「知識がない」などの理由で商品化できなかったアイデア、実証実験は成功したのに量産でつまづいた企画など、数多くの残念な事例を見てきました。長年の経験から、製品化にまつわる企業の困り事というのは、表に出にくいが強いニーズがある、潜在的なニーズとして困っている人がたくさんいると確信し、日本のものづくりの現場を支援したいという思いで、起業しました。


日本の半導体企業というのは、1990年台は世界トップ5全てが日本企業というほど隆盛を誇っていましたが、今はその勢いは全くありません。家電業界もしかりです。元々、日本の製造業は分業しすぎず曖昧なところがありましたが、現在は欧米流に徹底的に分業化されてしまいました。私は、今の製造業にこそ、分野横断な “横串”が必要だと思っており、そういう存在になりたいと思っています。


:日本のものづくりを支援する非常に心強いお言葉ですね。今後の展望を教えてください。


佐藤日本ベンチャーキャピタル株式会社が運営する「fabbit・NVCCスタートアップファンド」から2020年2月に資金調達しました。生態会のメンター平川淳士さんがベンチャー・キャピ


タリストをされているVCですね。資金調達はしましたが、急速に事業を拡大するというより、「製造業のよろずや」として、お困り事をひとつひとつ、しっかりと解決したいですね。特に、スタートアップの”ものづくり”支援には力を入れていきます。


社名のハッチは孵化という意味です。その名の通り、製品・サービスを生み育て、送り出すのが我々の役目です。持続可能な社会に貢献する製品やサービスを産み出したいという思いもあり、そのために欠かせない林業、木造建築の分野にも注力していきたいです。


我々の経験・知識とネットワークをフルに活用して、お客様のアイディアやニーズを実現します。”ものづくり”で困っていたら、どうぞご相談ください。

 

生態会からコメント:佐藤さんは、マイコン・半導体業界での経験から、国内外製造業の強み弱みをよく見てきているそうで、現在のコロナ危機について、「国内回帰の流れがあるが、 ものづくりは単なる“製造”ではなく “価値創造”が重要。”ものづくりの関西”を強くするには、内向きにならず、もっと海外と連携していくべき」とお話されていました。ぜひ、関西のスタートアップ・エコシステムの力強い成長の原動力となっていただきたいです!(生態会:森)



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